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中国、アフリカ豚コレラ感染拡大 北京など20省市で

【大連=原島大介】中国で家畜伝染病の「アフリカ豚コレラ」が猛威を振るっている。既に遼寧省や重慶市など20省市に感染が拡大。政府の対応策も後手に回り、収束の見通しは立たない。豚肉を巡っては、米中貿易戦争の中で米国への報復措置として米国産豚肉への追加関税を課す。中国は世界最大の豚肉大国だけに、一連の問題は経済に影響が出かねない。

「感染状況は依然として深刻で、さらなる対策強化が必要だ」。農業農村省(日本の農林水産省に相当)は14日、アフリカ豚コレラの感染地域の拡大に危機感をあらわにした。その上で管理や検疫を厳格化し、感染拡大の防止を指示したという。しかし、それをあざ笑うかのように23日には北京市も感染が確認されたと発表。感染地域は20省市にまで広がった。

アフリカ豚コレラはブタやイノシシに感染し、発症すると発熱や全身の出血などを起こし、致死率が極めて高い伝染病。人には感染しないとされる。中国では8月、東北部の遼寧省瀋陽の養豚場で47頭が発病したことで発覚。政府はブタを大量に殺処分したり輸送制限をしたりして感染防止策を施し、当初は「疫病の発生は抑制できている」とみていた。

ただ、その後も江蘇省、貴州省、重慶市など全国で感染例が続出。ブタを輸送するトラックの消毒が不十分なほか、ヤミ業者が感染地域のブタを横流しするなどの問題が頻発しており、感染拡大が収まる様子はみえない。

問題が長引けば、打撃を受けかねないのが経済だ。中国は豚肉生産量(2017年)が5340万トンと、全世界の約5割を占める豚肉大国。それだけに自国産の豚肉だけではまかなえず、一部を輸入に頼ってきた。

ただ中国は7月、米国との貿易戦争に伴う報復措置として、米国産豚肉に25%の関税を上乗せした。追加関税で割高になる米国産を減らし、自国産の増産で補うつもりだったが、アフリカ豚コレラの発生でもくろみが崩れた。

既に畜産業は打撃を受けている。深圳取引所上場で養豚業を営む雛鷹農牧集団は11月、発行済み社債の返済ができず、債務不履行に陥った。豚肉加工最大手の万州国際も18年1~9月期の最終利益が3%減った。いずれも米中貿易戦争とアフリカ豚コレラ問題が要因だ。

今後は、豚肉価格の上昇リスクも抱える。今年はもともと豚肉の供給量が多く、価格は下落基調だった。ただアフリカ豚コレラの発生で需給が逼迫したため、豚肉の小売価格は8月は6.5%、9月は3.7%とそれぞれ前月を大きく上回るようになった。

アフリカ豚コレラ問題が収束しなければ、価格の上昇が今後も続く見通しだ。豚肉は中国人の食卓に欠かせない食材なうえ、牛肉などに比べると割安で代用が利きにくい。賃金が伸び悩むなか家計への圧迫は避けられず、政府は難しいかじ取りを迫られている。

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