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体操の採点支援システムがもたらす未来
編集委員 北川和徳

2018/11/28 6:30
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国際体操連盟(FIG)が富士通と共同開発している演技の採点支援システムを国際大会で採用することを発表した。まだ審判の目視による採点を補助する段階だが、20年東京五輪を経て将来は男女全10種目の自動採点を目指している。

記者会見でFIGの渡辺守成会長は「冗談が本当になりました」とあいさつした。「こんなのできたらすごいね」という富士通関係者への冗談から始まったプロジェクトだったという。

採点支援システムのデモンストレーション。選手の技の角度などを画面(奥)に表示した=共同

採点支援システムのデモンストレーション。選手の技の角度などを画面(奥)に表示した=共同

演技中の選手に3Dレーザーセンサーを照射して3次元の画像に変換。それを体操競技の動きをデータベース化した「技の辞書」と照合して採点する。技術的な仕組みは素人には難しいが、20年には男女5種目で自動採点まで実現する予定。ただ、スポンサー契約の関係などで東京五輪は採点支援にとどまる見込みだという。

そもそも自動採点まで進化しなくても、瞬時に表れる3次元画像を確認できるだけで、審判の負担は軽減され、故意ではない誤審の心配はほぼなくなるだろう。他の採点スポーツへの応用も難しくない。審判の公平性を飛躍的に高めるシステムとして、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も注目していると渡辺会長が説明するのもうなずける。

採点以外でも用途はさまざまな分野に広がりそうだ。まずはトレーニングの現場。練習の演技の得点が本番と同じ基準で即座に分かるのだから、各国の代表チームを皮切りに価格次第で導入は幅広く進むだろう。採点スポーツでなくても正しい動作やフォームのチェックなどに応用できる。スポーツの指導全体に変革をもたらす可能性がある。

渡辺会長はさらに「このシステムをアスリートから一般の用途に広げていけば、これからの大きな課題である高齢者の健康づくりに役立てられるのでは」と期待する。

富士通は自社の技術を新たな発想で事業化できないかと取り組んでおり、その一つとしてスポーツとの融合に着目しているという。

スポーツが社会にポジティブな変化をもたらすイノベーション創出の舞台となる。スポーツの価値をこれほど高めることはないと思う。

(20年東京五輪まであと604日)

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