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Jリーグチームの地域貢献は本当か 自立してこそプロ
ドーム社長 安田秀一氏

(3/3ページ)
2018/11/30 5:40
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その後のプレミアリーグの繁栄は説明するまでもないでしょう。各チームの資金力が上昇しながら実力が接近し、戦力差も少なくなり、試合のレベルが格段に上がってエンターテインメントとして洗練されてきました。売り上げは増え、豊富な資金でスタジアムの改革が進み、さらに人気を高める、観客の満足度を高めるという好循環です。欧州のサッカーリーグでは頭一つ抜けた存在となっています。

私も何度かプレミアリーグのチームを訪れたことがありますが、彼らは「サッカーはエンターテインメントビジネスだ」ということを明言しています。チームの経営陣と面会しても、「優秀な営業マン」のような雰囲気で、物腰は柔らかく、日本の体育会的で権威的なムードはみじんもありませんでした。

クラブチームが起源であるプレミアリーグも、エンターテインメントビジネスという形式に軸足を持っていきました。そして、あらゆる投資を行い、リスクを背負うチーム自らが自分たちのリーグ運営を行っています。民主的な力が化学反応を起こし、巨大なエネルギーとなっているのです。

米国とは文化も仕組みも異なるサッカーの本場の欧州で、このような大変革が起きたのです。言ってみれば、非常に分かりやすい成功事例があるのです。Jリーグもプロリーグとしての成功を目指すなら、プレミアリーグや米国型のプロスポーツの方向性にかじを切る、そんな動きがチーム側から起こることを期待せずにはいられません。

■リスクに見合った権利あるか

地域の発展や地域のスポーツ環境の整備といったことはもちろん大切な課題です。

ただ、世界の動きを見てみれば、それはプロスポーツが理念に掲げて最優先すべきことではないと感じます。「最高峰のプロ」がプロとして、レベルを上げ、収益を最大化し、きちんと機能することで、そのスポーツは発展し、結果として地域が発展する、という順番なのだと思います。プレミアリーグも20チームです。希少性を高めることでプロとしての価値は高まります。チームを全国に点在させることで全体のレベルを下げる必要はないのです。

現状のリーグ運営を批判したいのではありません。個々のチームが、自立心や独立心を持ち、プロの経営者を登用し、リスクテイクに見合う権利を認識することが起点のように思います。プロスポーツとしての成功を目指す。それを迷いなく進めることで、結果的に地域に大きな貢献を果たす。それが本来のプロスポーツのあり方ではないでしょうか。

「一身独立して一国独立す」(福沢諭吉)

そのためには何はともあれ、まずは各チームがデモクラシーの原点である独立自尊の精神に立ち返ることだと思っています。

安田秀一
1969年東京都生まれ。92年法政大文学部卒、三菱商事に入社。96年同社を退社し、ドーム創業。98年に米アンダーアーマーと日本の総代理店契約を結んだ。現在は同社代表取締役。アメリカンフットボールは法政二高時代から始め、キャプテンとして同校を全国ベスト8に導く。大学ではアメフト部主将として常勝の日大に勝利し、大学全日本選抜チームの主将に就く。2016年から18年春まで法政大アメフト部の監督(後に総監督)として同部の改革を指揮した。18年春までスポーツ庁の「日本版NCAA創設に向けた学産官連携協議会」の委員を務めたほか、筑波大の客員教授として同大の運動部改革にも携わっている。

(「SPORTSデモクラシー」は毎月掲載します)

安田秀一氏によるコラムはこちらもお読みください。
「学生のメリット見えない 大学スポーツ統括組織の謎」
「フットボールはぶつかり合い 日本式戦術はもう古い」
「『メダル数争いやめよ』アスリート起業家、五輪を斬る」
「金足農の準優勝は美談ではない 選手守れぬ残酷な戦い」

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