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Jリーグチームの地域貢献は本当か 自立してこそプロ
ドーム社長 安田秀一氏

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2018/11/30 5:40
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実際にJリーグの実情をみていくと、同じプロリーグのチームでありながら、その設立の条件やチーム状況の格差が顕著です。大企業がバックについているチームは、広告費などの営業補填があり、練習場やクラブハウスなど施設もそろっています。「地域の寄付金によってスタジアムを整備した」とうたいながら、その寄付の大半は親会社が負担したというケースもありました。

英プレミアリーグでは各チームの戦力差が接近し、娯楽として洗練されてきたという(2018年11月、ロンドン)=ロイター

英プレミアリーグでは各チームの戦力差が接近し、娯楽として洗練されてきたという(2018年11月、ロンドン)=ロイター

一方、J3などに多く見られる、地域から始まったクラブチームは一様に経営が苦しく、日々の練習場の確保さえままならないチームもあるようです。また、ライセンス制度を採用するJリーグに加盟するには、スタジアムを整備しなければなりません。しかし、そのようなクラブにはお金がありませんから、その資金負担は全て地域住民が担うことになっています。

さらに、チームが地域で子どもたちに教えるアカデミーはほとんどが有料です。むしろアカデミー収入をトップチームの運営に回しているというチームも多いようです。Jリーグが理想とする欧州クラブのサッカースクールが地元の子供からお金を取るという事例は、私が見聞きする範囲では知りません。

「地域に貢献する草の根のチームこそ素晴らしい」という意見も多く聞かれます。しかしながら、実態は財政面で地域に大きな負担をかける存在になってしまっているのです。もちろん、チームが無いよりあった方がいい、というご意見もあるかと思います。しかしながら、そもそも設立要件に大きな違いのあるチーム同士が、同じ土俵で同じ条件で戦うこと、さらには日本の文化にないクラブという公共財を株式会社で実現しよう、という部分にチグハグ感を強く感じてしまいます。

■本場欧州でも米国型の大転換

Jリーグがスタートした90年代以降、米国のプロスポーツはビジネスとしての価値を飛躍的に高めました。背景にあるのは、リーグとチームの運営の一体化が進んだことです。

前回のコラムで紹介したように、リーグに参加するチーム同士がルールを決めて運営していくガバナンスが確立され、戦力の均衡を保つことや、チームの希少価値を高めていくといった戦略が機能するようになりました。もともとプロフットボールのNFLが発足当時から展開していたリーグ運営のモデルで、NFLの成功に学んでMLBやバスケットボールのNBAなどにも定着しました。

そして、サッカー発祥の地である英イングランドのサッカーリーグでも、米国型プロリーグへの大きな転換がありました。92年、1部リーグの全クラブがリーグを離脱し、プレミアリーグを設立したのです。

同リーグは所属20クラブが株式を持つ会社です。それぞれのクラブは契約やルール改正など重要事項の決定で株主として投票権を持ちます。当事者であるチーム同士でアイデアを出してリーグの価値を高めていこうという、まさに米国型の運営です。降格や昇格もありますが、その時は株が降格チームから昇格チームに移ります。

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