オリィ研究所、分身ロボ接客の期間限定カフェ
ロボット開発のオリィ研究所(東京・港)は26日、病気などで体を自由に動かすのが難しい人が分身ロボを遠隔操作して接客するカフェを期間限定で開いた。従業員は自宅などからロボットを操作し、来店客とコミュニケーションをとる。来店客からの声をロボット開発に生かし、2020年をめどに常設店舗の開業をめざす。
日本財団と分身ロボットコミュニケーション協会(東京・杉並)と共同で「分身ロボットカフェ・ドーン・バージョンベータ」を開いた。東京都港区にある日本財団のビルで、26日から12月7日まで土曜と日曜を除いて営業する。

今回カフェのスタッフとして働くのはALS(筋萎縮性側索硬化症)や脊椎損傷などで、重度の障害を持つ約10人。オリィ研究所が開発した身長120センチメートルのロボット「OriHime-D」を操作して接客する。
OriHime-Dは店内の床に貼られた磁気テープの上をたどって移動する仕組み。お盆に載せた飲み物をゆっくりと各テーブルまで運び、最後は客にお盆から飲み物をとってもらう。ロボットにはカメラやマイク、スピーカーがついており、コミュニケーションもとれる。
分身ロボを通じて動作を伴う仕事ができるようになれば、体を動かせない人の職業の選択肢や働く場所が広がる可能性がある。オリィ研究所の吉藤健太朗代表取締役は「肉体労働を可能にするアバターワークが実現できれば、障害を持つ人ももっと社会参加できる」と今回の取り組みの意義を話した。
また、オリィ研究所は26日、ANAホールディングス(HD)と日本財団と、ロボットを活用した就労支援で協力すると発表した。ANAHDは分身ロボット「アバター」の事業化をめざしている。
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