2019年6月17日(月)

太陽光「未稼働案件」の2GW超が断念? 制度改正で

2018/11/26 13:02
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日経クロステック

太陽光発電協会(JPEA)は2018年11月22日、太陽光の長期未稼働案件に対する制度改正案に関し、緊急に実施したアンケート調査の結果を説明した。それによると、回答した29社が開発を進めている案件で、今回の改正で影響を受ける可能性のあるものは113件で、合計容量は約310万kW(3.1GW)に上ることが分かった。

制度改正の有無による稼働可能性への影響(出所:JPEA)

制度改正の有無による稼働可能性への影響(出所:JPEA)

この改正案は、経産省が18年10月15日に開催した有識者会議で公表したもので、買い取り価格40円、36円、32円/kWhの未稼働案件で運転開始期限の付いていないものを対象に、新たに運転開始期限を設定したり、「系統連系工事の着工申し込み」の受領時期によって買い取り価格を変更(減額)したりするもの。

影響を受ける可能性のある113件の開発規模は平均27.5MWで、特別高圧送電線に連系するメガソーラー(大規模太陽光発電所)となる。

これらの案件に関し、今後の稼働可能性を聞いたところ、制度改正が無い場合は「稼働できる可能性が高い」が296万kW(111件)、「稼働できる可能性が低い」が14万kWと稼働できるとする事業が圧倒的に多いのに対し、制度改正案が実施された場合、「稼働できない可能性が高い」が228万kW(92件)と逆転する。少なくとも2GWを超えるプロジェクトが制度改正によって、開発断念に追い込まれる可能性がある。

113案件に対する現時点での投資総額(電力会社への工事費負担金、地権者やEPCへの支払いなど)は約1680億円で、未稼働となった場合の違約金(EPCや金融機関への違約金、地権者に対する賠償金など)は、約1210億円に上るという。従って、現在の改正案が実施された場合、29社全体で2000億円を超える損失が発生する可能性がある。

■「3.1GW」は氷山の一角?

今回、JPEAがアンケートを依頼したのは110社。経産省によると、今回の改正案の対象となる案件は、全体で最大1700万kW(17GW)に上るとしており、JPEAのアンケートが届かなかった開発事業者も多いと見られる。JPEAの増川武昭事務局長は、「今回のアンケートで判明した、影響のある案件数・容量(113件・310万kW)は、氷山の一角である可能性も高い」としている。

アンケートでは、稼働が遅れている理由を聞いた。最も多いのが「電力会社の連系可能日に合わせた」(24件)、2番目が「林地開発許などの許認可」(19件)、3番目が「造成、建設工事に時間を要するから」(16件)だった。電力会社の連系可能日に合わせて、許認可取得や造成スケジュールを組んできたケースも予想される。

今回の制度改正案では、「買い取り期間の短縮(運転開始期限の設定)」と、一定の条件下での「買い取り価格の変更(減額)」が適用される。このうち「価格変更の可能性」については、「確実」(32件)、「極めて高い」(31件)、「高い」(27件)だったのに対し、買い取り期間短縮は、「確実」(55件)、「極めて高い」(15件)、「高い」(20件)となり、期間短縮の適用可能性が高いと見ていることが分かった。

一方、稼働できなくなる理由に関しては、「買い取り価格が変わるから」が51件、「買い取り期間が短くなるため」が1件、「買い取り価格と期間の両方の影響」が48件という回答で、買い取り価格変更(減額)の影響が圧倒的に大きいことが伺える。

そこで、買い取り価格の変更で稼働できなくなる理由を聞いたところ、「造成費・土地代などのコストが高いため」(70件)が最も多く、「融資が受けられなくなるから」(63件)が続いた。40円・36円・32円/kWhの買い取り価格を前提に造成計画を立てていたり、買い取り価格の変更がないことを条件にファイナンス契約を結んでいることが多いと見られる。

■JPEAが7つの要望事項

改正案のルールで現状の買い取り価格を維持するには、19年1月下旬ごろまでに「系統連系工事の着工申し込み」を提出し、19年3月末までに不備なく電力会社に受領されることが必要になる。アンケートで、「着工申し込み」が間に合わない理由を聞いたところ、「林地開発許可・認可」(48件)が最も多く、次いで「農転などの手続き」(12件)だった。林地開発許可を前提にした案件が多くを占めることが伺える。

そこで、「着工申し込み」の受領期限をどのくらい延ばせば、価格変更を回避できるかを聞いたところ、「20年3月まで」が18件と最も多かった。20年3月まで延ばせば、34件中24件が、価格変更を回避できるとの結果だった。

こうしたアンケート結果を踏まえ、JPEAでは、経産省に対し、以下7点の修正要望を出すと公表した。(1)「着工申し込み」の期限については、受領日でなく提出日とすべき。(2)「着工申し込み」の提出期限を少なくとも20年3月末までに延ばしてほしい。(3)「連系開始予定日」は送配電事業者が機械的に決めるのではなく、すでに合意された日を基本とすべき。(4)買い取り価格の変更要件である「着工申し込み後の事業計画の変更」に関し、やむを得ない事情や発電事業者の責に寄らない事情などに配慮してほしい。(5)プロジェクトとしての熟度が、ある程度進んでいる場合(例えば、融資契約やEPC契約締結、建設工事の着工など)は、制度変更の対象から外してほしい。(6)環境アセスメントのプロセスにある案件は制度変更の対象から外してほしい。(7)運転開始期限については、「連系開始予定日+3カ月」としてほしい。

今回の制度変更に関しては、11月21日にパブリックコメントの期間が終了し、その後早い時期に政省令を改正・告示して正式に決定し、19年1月下旬ごろまでの「着工申し込み」期限を設定するというスケジュールになる予定。パブコメでは、多くの事業者が反対意見を提出しており、今回、業界団体であるJPEAも要望を出したことで、経産省の対応が注目される。JPEAの増川事務局長は、「これだけ大きな影響があることが分かってきたことで、経産省は何らかの修正案を用意しているのではないか」と話している。

(日経BP総研クリーンテックラボ 金子憲治)

[日経 xTECH 2018年11月23日掲載]

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