スタジアムへの入場や買い物 リストバンドで
パナソニックとぴあが実験
パナソニックとぴあは24日、スタジアムの入場やグッズ購入をリストバンド型の決済端末で一括して行う実証実験を始めた。これまでもQRコードをかざして入場するなど電子化の動きはあったが、売店なども含めて決済システムを統一する試みは初めて。2020年の東京五輪・パラリンピックも見据え、競技場での混雑緩和を目指す。

24日にパナソニックスタジアム吹田(大阪府吹田市)で開催した「ガンバ大阪」対「V・ファーレン長崎」の試合で実験した。紙のチケットを持って来場した約1万5000人にリストバンドを配布した。
リストバンドは三井住友カードと大日本印刷が開発。プリペイド機能を持つSDカードほどの小型カードをリストバンドに装着する。カードにはチケット情報が記録され、認証端末にかざして入場するほか、チャージして食べ物やグッズの購入にも使える。リストバンドひとつで入場から買い物までできる仕組みだ。
入場ゲートや売店にはパナソニックの小型認証端末を計約150台設置した。スマホサイズの小ささと電源が不要で持ち運びできるコードレス仕様が特徴。手軽さを売りに、20年にJリーグの全クラブでの採用を目指す。
スタジアムの売店はキャッシュレス対応しているものの、利用率は10~20%にとどまる。15分間のハーフタイムに購入が集中し、試合の後半開始に間に合わない観客も多い。キャッシュレス化で会計を素早くし、混雑を緩和する狙いがある。
これまで紙のチケットを利用してきたという三重県伊勢市の真栄田光広さん(48)は「最初は仕組みが難しいと思ったが、手でかざすだけで全てできるのは便利」と話した。
スタジアム外との連携も強化している。例えば、スタジアムに隣接する商業施設で使えるクーポン。試合終了直後に駅へ向かう観客で大混雑するため、直接駅に向かう人を減らす効果が期待できる。
こうした取り組みの先に見据えるのは、20年の東京五輪・パラリンピックだ。世界中から観客が訪れ、競技会場付近は混雑が予想される。パナソニックの井戸正弘ビジネスソリューション本部長は「人の流れは五輪でも一番の課題。電子化でデータを蓄積して生かしていく」と述べた。