広がるVR、小売り・採用・軍事… 注目19業界

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2018/11/26 2:00
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14.エンジニアリング

エンジニアはVR・ARを使うことで、製品のアイデアがソフトウエアのプログラム内にしかないような設計の初期段階でも、その製品を操作できるようになる。

ある部分を微調整したり変えたりすれば全体のレイアウトにどう影響するかを視覚化できるため、これは極めて有用だ。エンジニアは所定のソフトウエアを使って製品を変更し、その成果をその都度VRで確認できる。

画像を回転させてあらゆる角度から確認したり、デザインにどう影響するかを正確に理解したりすることができるようになる。完成品の外観についてより良いアイデアを得るきっかけになるかもしれない。

工業デザイナーも同じ方法でこの技術を活用できる。実際、エンジニアとデザイナーがVRを使ってコラボすることも可能だ。

例えば、両者は開発中のエンジンパーツをVRでチェックできる。エンジンにパーツを取り付け、きちんと収まるかを確かめることも可能だ。

フォードのデザイナーとエンジニアはVRラボ「フォード・イマーシブ・ビークル・エンバイロンメント(FIVE)」で、車のモデルをバーチャルに確認できる。自分たちの作業が適切であることを確認し、設計に不備のある部品が見つかれば協力して対応できる。初期の試作車や設計を仕様書の要件に合わせやすくもなる。

設計業務支援ソフトを手掛ける米SolidWorks(ソリッドワークス)は2月、エンジニアが設計を確認できるARヘッドセット「メタ2」の開発者向けキットを発表した。

15.カスタマーサービス

VRやARは企業が顧客とやり取りする新たな方法を提供してくれる。現時点では電話で行っているリモート・トラブルシューティングは有望分野の一つだ。

カスタマーサービス担当者が顧客とやり取りするために、VR端末を使うようになる可能性もある。顧客の前に担当者の像が浮かび上がり、問題について一つずつ話し合う。担当者は顧客が見ている通りの状況を3次元で確認できるため、問題を解決しやすくなる。

こうした技術の実験にすでに乗り出している企業もある。

例えば、米フィデリティ投信はコールセンター担当者向けにVRによるシミュレーションを開発。新しい従業員はシミュレーションを使ってやり取りし、様々な予想シナリオを体験することで幅広い問題への対処法を学ぶ。

スウェーデンの家具大手イケアの顧客は専用のVRアプリとヘッドセットを使い、自宅のデザインをいろいろと試すことができる。家具を取り換えたり、色や寸法を変えたりすればどうなるかをすぐに確認できる。

16.農業

農家は手に入るようになった莫大な収穫データを視覚化できるようになる。慣性センサーや全地球測位システム(GPS)、パワフルなプロセッサー、画像センサーを搭載した市販のドローンにより、農家やデータ科学者は田畑の状況を確認できる。

360度動画の撮影機能を備えたこうしたドローンにより仮想環境での農作物の監視が可能になるため、農家はVRヘッドセットを装着して田畑をスキャンし、農作物の反応や被害をチェックできる。

VRとデータを駆使することで微細なレベルで農作物を手入れできるようになるため、収穫量が増える一方で病害が減り、コスト改善を果たすことができる。

インドのIT(情報技術)サービス大手インフォシスは、すでに農業にARとVRを導入している。センサーやカメラを使い、農作物の状況を細やかに計測するシステムを開発。人工知能(AI)も活用し、それぞれの農作物が最も健やかに成長するためには何が必要かを把握する。データはヘッドセットに送信され、農家はそれぞれについて水や日光、肥料などが必要だと確認できる。

17.スポーツ

スポーツ選手にとってイメージトレーニングは身近な訓練だ。将来はVRを使ってあたかも試合に出場しているかのように練習できるようになるだろう。すでに活用している選手もいる。

米プロフットボールNFLは、VRソフトウエアを手掛ける米STRIVR(ストライバー)を活用し、試合中に発生する多くの状況をVRで体験して試合に備えている。米プロバスケットボールNBAと米大リーグ(MLB)はVRを使ってシーズンオフに審判の訓練を行う予定だ。

18.教育

VRの普及に伴い生徒の学び方も様変わりする。教育テックの米Nearpod(ニアポッド)はグーグル・カードボードを活用している。同社の教材は現在、多くの公立学校で使われており、生徒はエジプトのギザのピラミッドや、オーストラリアのグレートバリアリーフ、さらに火星など様々な場所への「バーチャル遠足」に参加できる。こうしたツアーはパノラマ画像から作られており、ナレーションやテキスト、その他の関連教材が付く。

一方、米EON Reality(EONリアリティー)では、教師がオンライン上で同社の3次元モデルをカスタマイズし、独自のVRコンテンツを作成できる。

19.エネルギー

あらゆるモノがネットにつながるIoT機器から収集したデータをVRと組み合わせれば、保守担当の技術者は油井など離れた場所で、その場にいなくても判断を下せるようになる。

米Mechdyne(メクダイン)は石油・ガス会社がVR技術を使って掘削などの各種業務をモニターするサービスを始める。このサービスを使えば各社は試掘場所を科学的に判断し、油井の試掘計画をシミュレーションし、手続きを最適化できる。

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