子宮頸がんウイルス検査推奨 国立センターが指針案
国立がん研究センターは22日までに、子宮頸(けい)がん検診として、がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しているかどうかを調べるHPV検査を新たに推奨するとの指針案をまとめた。主に海外の研究で、がんになる人を減らす効果が確認できたのが理由。本年度内に指針を改訂する。
HPV検査は、公的検診として全国の自治体で現在実施されている細胞診検査に比べて回数が少なくて済むという利点がある。欧米では既に導入している国が多く、厚生労働省は公的検診の対象に加えるかどうか、専門家会合で議論する方針。
HPV検査は、子宮頸部の細胞を採取し、HPVの有無を調べる検査。感染が分かった人に定期的に検査などを行うことで、がんになる前の段階の病変を見つけて取り除きやすくなり、結果的にがん患者を減らせると期待される。
研究チームは、HPV検査の効果を調べた国内外の研究成果を分析。細胞の異常の有無を顕微鏡で調べる細胞診検査と比較した結果、がんを減らす効果が同等のレベルであることが分かった。細胞診とHPVの併用検査でも同等だった。
細胞診は、公的検診では20歳以上の女性が対象で2年に1回受ける必要があるのに対し、HPV検査は30~60歳を想定しており、検査間隔は5年に1回と少ない。
ただHPV検査は、誤って陽性と判定してしまう例が多い上に、感染が確定しても免疫機能によってウイルスが排除されることも多い。このため精密検査などを怠るケースが増える懸念がある。同研究センターの中山富雄検診研究部長は「受診者にそれぞれの検査の性質を理解してもらうと同時に、経過観察の仕組みづくりが重要だ」と話している。〔共同〕