iPSから小腸の細胞、創薬に応用へ 阪大
大阪大学の水口裕之教授と高山和雄助教らは、人のiPS細胞から小腸の一部を育てることに成功した。新たな飲み薬の開発などへの利用が期待される。企業と協力して2019年中にも製品化を目指す。成果を米科学誌ステム・セル・リポーツに22日発表した。
まず人のiPS細胞から、胃や腸などのもとになる細胞を作製。8種類の物質を組み合わせて培養液に加える。実験では9割以上の細胞が小腸の内側にある組織になり、小腸特有の遺伝子が働いていることを確かめた。
飲み薬は小腸で吸収され、肝臓を経て全身に行き渡る。新薬開発では、小腸でどのくらい吸収されるかなどを調べる必要がある。作った小腸の組織は吸収具合のほか、治療効果を発揮するかなどを調べるのに役立つ。病気を再現すれば、原因や治療法を探る研究にも役立つ。動物実験が不要になり、開発期間の短縮につながる。