2018年12月19日(水)

OPEC 減産のさじ加減難しく サウジにトランプ氏の影

OPEC
環境エネ・素材
2018/11/22 6:30
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石油輸出国機構(OPEC)が12月6日に開く定時総会まで半月。主導するサウジアラビアは1年1カ月ぶりの安値をつけた原油相場の下支えに向けて減産を探る。ただ産油国には温度差があり、原油高を嫌うトランプ米大統領にも気配りせざるを得ない。供給過剰の解消へ難しいさじ加減を迫られる。

原油の供給過剰を懸念する声が強まっている(イラクの油田)=ロイター

原油の供給過剰を懸念する声が強まっている(イラクの油田)=ロイター

ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は20日、1バレル53ドル台に下落した。約4年ぶりの高値をつけた10月初めに比べ3割安い。下落基調は鮮明だ。

トランプ米政権は11月初め、対イラン経済制裁を再発動する直前になって、イラン産原油の禁輸の適用除外を8カ国・地域に認めた。原油の供給不安は後退。過去最高に膨らむ米国のシェールオイル生産や、米国の株安も売り材料視された。

新興国の需要に減速懸念が強まり、2019年の供給過剰は日量100万バレル超との観測もある。ロイター通信は産油国が140万バレルの減産を模索していると伝えた。

イラン産の急減を見越し夏場から増産してきたサウジは警戒を強める。11日、ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は12月に「日量50万バレル減らす用意がある」と語った。

ただ、OPEC非加盟ながら17年初めから協調減産に加わっている主要産油国のロシアは様子見の構えだ。ノワク・エネルギー相は「12月初旬まで事態の展開を見極める必要がある」と19日に述べたと伝わった。

イランは米国の制裁で自由に輸出できないため、一律の減産強化には不公平として反対する公算が大きい。新たにどの国がどれだけ減らすかを決めるとなれば、全会一致が原則のOPEC総会は紛糾する可能性が高い。

打開策としてささやかれるのが、現在の減産目標を順守することで結果的に供給を絞る手だ。OPECやロシアは昨年に日量180万バレル規模の協調減産を始めたが、イランやベネズエラが大幅減産を余儀なくされる一方、サウジやロシアは目標を超えて生産している。

「各国が現行の生産枠程度の生産をすると、10月から日量150万バレル弱の減産となる」と野村証券の大越龍文シニアエコノミストは分析する。

各国が受け入れやすい着地点にみえるが、影を落としかねないのがトランプ氏だ。サウジ人著名記者の殺害事件で同国のムハンマド皇太子の関与が疑われるなか、20日には「米国とサウジの協力関係は揺るがない」とサウジを擁護。皇太子の関与を断定しなかった。

そのうえで原油価格について「サウジは合理的な水準に安定させてほしいという私の要望に応えて緊密に協力している」と強調するのも忘れなかった。「高値につながる決定へのけん制だ。サウジは大きな減産をしづらくなった」とニッセイ基礎研究所の佐久間誠准主任研究員は読み解く。

トランプ氏は記者殺害事件で窮地のサウジをかばう一方、21日には原油価格下落について「米国と世界にとって大きな減税。サウジに感謝するが、さらに低くしよう」とツイッターに投稿した。サウジとしてあからさまに価格底上げを目指す政策は採りにくいだろう。

とはいえ原油安は財政を圧迫する。供給過剰を放置できず、相場急騰も避けなければならないサウジのジレンマは募る。

(久門武史)

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