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韓国政府、慰安婦財団の解散発表 日韓合意の無効化狙う

【ソウル=恩地洋介】韓国政府は21日、従軍慰安婦問題に関する2015年の日韓合意に基づき同国政府が設置した「和解・癒やし財団」を解散すると発表した。元慰安婦や遺族に現金を支給する事業を担う財団は、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決をうたった合意の柱で、合意の骨抜きが狙い。合意履行を求めてきた日本政府の意向に反する一方的措置で、日韓の関係悪化は不可避だ。

韓国女性家族省が「財団解散への法的手続きに入る」と明らかにした。財団の定款には、解散には在籍理事の3分の2以上の賛成が必要との規定があるが、理事が定足数を満たしていないため女性家族相が関係者からの聴聞を経て決定する。手続きには数カ月を要するとされている。

日本政府が財団に拠出した10億円の扱いを巡っては「慰安婦被害者関連団体などの意見を聞き、合理的な処理方法を準備する」と説明した。韓国政府によると財団には10月末時点で57億8千万ウォン(約5億7千万円)が残っている。韓国側は今年7月に10億円相当額を自国予算で手当てする措置を取っている。

財団は朴槿恵(パク・クネ)政権下の16年7月に発足した。合意時に存命していた47人の元慰安婦のうち36人が1人あたり1億ウォン(約1000万円)の給付金を受け取る意思を示し、実際には34人が受け取った。遺族からは71件の申請があり、58人に対して1人当たり2千万ウォンが支給された。

陳善美(チン・ソンミ)女性家族相は「被害者中心主義の原則の下、財団を解散することになった。今後も被害者の名誉と尊厳を回復する政策を推進する」とコメントした。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領はかねて慰安婦問題を巡り「外交で解決される問題ではない」と主張。合意破棄や再交渉は求めないとしながらも、合意を無効化する取り組みを徐々に進めてきた。

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