米医療器具大手ボストン、英同業を4700億円で買収
【ニューヨーク=西邨紘子】医療器具大手の米ボストン・サイエンティフィックは20日、英同業のBTGを33億ポンド(約4700億円)で買収すると発表した。BTG1株当たり8.4ポンドを現金で支払う。市場が拡大するがん治療用品などを強化する狙い。2019年上半期の手続き完了を見込む。
BTGは従来の手術に比べ傷口が小さく済み、患者の体への負担がより軽い「低侵襲性手術」と呼ばれる分野に強みを持つ。近年、がんや生活習慣病の患者増加に伴い同タイプの治療の需要は広がっている。ボストンも血栓治療用カテーテルなどを事業の柱としており、BTG買収で技術の取り込みと品ぞろえ強化につなげる。
BTGは1981年、英政府が国内の知的財産権保護を目的に設立した「英国研究開発機関(NRDC)」と、技術の商用化を促進する「英国企業委員会(NEB)」を統合して設立。その後、民営化した。磁気共鳴画像装置(MRI)など多くの技術特許を保有し、ライセンス供与を主力事業としていたが、2005年に保有特許の大半を売却。医療機器と製薬事業を事業の柱とする方針に切り替えた。
主な製品には正常な組織を傷つけずに、高分子微粒子を使ってがん腫瘍にターゲットを絞り込んで放射線を投与する治療法「セラスフィアY-90」や、血管内で超音波を発して血栓を分解し、血流を回復するカテーテル「EKOSシステム」などがある。また、毒蛇の解毒薬を柱とする医薬品事業も傘下に持つ。
BTGの18年3月期通期の売上高は前の期比9%増の6億2100万ポンドだった。
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