2019年1月24日(木)

板挟みのASEAN 米中対立激化でバランスに苦慮

東南アジア
2018/11/20 16:37
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【香港=中野貴司】東南アジア諸国連合(ASEAN)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)の一連の会議で米中の対立が激しさを増し、板挟みとなったASEAN各国はバランスの維持に苦慮した。トランプ米大統領が不在の間に中国ペースで議論が進まないよう、あえて中国をけん制する発言も目立った。

ASEANは東アジア首脳会議で米中の間で調整に奔走した(15日、シンガポール)=ロイター

「貿易関係が新たな植民地主義の形態に成り下がってはならない。貿易が支配のための武器として使われることも防がなければならない」。マレーシアのマハティール首相はASEANの会議期間中、シンガポールでこう強調した。

「新たな植民地主義」という言葉は、8月の訪中の際に李克強(リー・クォーチャン)首相の目の前で言い放った表現だった。同じ表現をシンガポールでも繰り返すことで、中国に一方的に取り込まれることを望まないASEANの姿勢を代弁した。

最高齢の隣国の首相の発言に刺激されたのか、議長国シンガポールのリー・シェンロン首相も中国の提案とは異なる見解を口にした。中国が3年以内の解決を提案している南シナ海の行動規範の策定に関して「複雑さと難しさを過小評価するつもりはない」と発言。中国とASEANの主張が折り合わず、決着が3年以上かかる可能性を示唆したのだ。

フィリピンが議長国を務めた2017年秋のASEAN首脳会議では、中国に一方的に押される展開だったASEAN。今回軌道修正を図ったのは、貿易や安全保障を巡る米中対立が収束の兆しを見せない中で、一方に肩入れするのは域内の均衡を崩すリスクが大きいと判断したためだ。

とりわけ今回は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がAPEC開催地のパプアニューギニアを多くの首脳に先駆けて訪問し、ASEAN、APEC出席を見送ったトランプ米大統領との対比が際立った。

ASEANは中国との会合では協調を演出しており、中国との親密ぶりのみが目立つのを避けたかった。議長声明でも米中のいずれかを一方的に持ち上げたり、非難したりする表現を避けるなど、両国のバランスに配慮した。

大国の米中に振り回され続ける事態への危機感も垣間見えた。ASEAN首脳会議の議長声明では、地域の課題解決で中心的役割を果たす「ASEANセントラリティー(中心性)」の表現を使って、インド太平洋地域を巡る構想に積極的に関与していく姿勢をみせた。

インドネシアなどにはもともと「自由で開かれたインド太平洋」や「一帯一路」といった大国主導の構想が地域の安全保障や経済成長の主軸になることへの不満が根強かった。ただASEANが首脳会議を通じて独自の構想を深められたわけではなく、課題は来年以降に持ち越された。

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