体操をAI採点、20年までに実用化 富士通と体操連盟
あん馬も平均台もレーザー計測
富士通と国際体操連盟は20日、人工知能(AI)による体操の自動採点システムを2020年までに開発し実用化すると発表した。体操競技の高度化に伴って、技の成功や美しさを目視で判定するのが難しくなっている。IT(情報技術)の活用で誤審を減らし競技の魅力を向上する。
「技術を様々なイノベーションに生かしていきたい」。20日都内で記者会見した富士通の田中達也社長は意気込んだ。AIを活用した採点システムを開発、20年までに男子のあん馬や女子の平均台など5種目を自動採点することを目指す。24年までには全10種目での実用化を目標にする。
システムはまずレーザーセンサーで選手の動きを立体的に記録する。次に3次元データをAIで解析、関節の位置などを特定し各部の角度や高さを数値化する仕組みだ。審判員は数値を参考にして、技が成立したかどうかや姿勢が崩れていないか、どの程度まで高く飛んだかなどを判定する。
富士通と国際体操連盟は17年10月に採点支援システムの開発で提携、大会で実証実験を続けてきた。今後、採点支援での実績を重ね、自動採点にまで踏み込む。
またシステムを選手のトレーニングに活用してもらうほか会場の大型モニターやテレビ中継で、技の構成を紹介するといった取り組みも進める。国際体操連盟の渡辺守成会長は「スポーツはエンターテインメント化しなければ生き残れない」と強調する。
体操競技は選手の能力や器具の性能が高まるにつれ、技が一段と複雑になっている。技の種類は男子で800種、女子で500を超え、採点規則は200ページ以上にのぼるという。
採点競技を巡っては判定の公正さが議論されている。平昌冬季五輪のフィギュアスケートでは、審判が自国選手をひいきする「愛国ジャッジ」の疑惑が広がった。採点が不透明になるとファン離れや競技人口の減少を招くだけに、競技団体としても対策が急務になっている。