2018年12月16日(日)

パワハラ防止、企業の義務に 厚労省が法整備へ

経済
2018/11/19 19:17
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厚生労働省は19日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開き、職場のパワーハラスメント(パワハラ)の防止措置を企業に義務付けるため法整備する方針を示した。パワハラに関与した社員らの処分を就業規則に規定するといった措置を企業に求める見通し。働きやすい環境をつくるには法律による規制が不可欠だと判断した。

2019年の国会へ関連法案の提出をめざす。同じハラスメントでもセクシュアルハラスメント(セクハラ)は男女雇用機会均等法、マタニティーハラスメント(マタハラ)は育児・介護休業法などで、企業に相談窓口の設置といった防止措置が課せられている。一方、パワハラには法律による規制がない。

厚労省は19日に示した対策方針でパワハラ防止について「喫緊の課題であり、対策を抜本的に強化することが社会的に求められている」としたうえで「防止措置を講じることを法律で義務付けるべき」と明記した。具体的な防止措置はこれからつくる指針で示すとした。処分規定の就業規則への明記や相談窓口の設置、迅速な事後対応などを求める見通しだ。

パワハラの定義をめぐっては、3月に厚労省の検討会がまとめた報告書を踏まえ(1)優越的な関係に基づく(2)業務上必要な範囲を超える(3)身体的・精神的な苦痛を与える――の3つの要素を満たすものとした。例えば、上司が部下に「クズ」などと発言して人格を否定することは、この基準を満たすのでパワハラに該当する可能性が高い。

企業側はかねて「指導との線引きが難しい」と主張し、パワハラの法規制に反対してきた。企業側の委員は19日の分科会でも「義務化にするにしても過去の判例を踏まえた定義の明確化が必要だ」と訴えた。

パワハラの問題は深刻だ。全国の労働局への労働相談では、パワハラを含めた「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が17年度に約7万2000件にのぼり、増加の一途をたどる。厚労省の16年度の調査では企業で働く人の3人に1人が「過去3年間にパワハラを受けたことがある」と答えた。

パワハラが社会問題になっている背景を踏まえて労働側の委員は防止措置だけでなく、ハラスメントの行為自体を禁止する規定を法律に盛り込むべきだと主張した。ただ、行為禁止は民法など他の法令との関係の整理や違法行為の明確化など課題が多く、厚労省は見送る方向。労働側からは「ハラスメントの根絶には禁止規定が重要だ」との認識が再び示された。

厚労省は3月までの検討会で議論してきたが、労使の溝が埋まらないまま、法律を整備するか法的強制力を持たない指針(ガイドライン)で対応するか決まらなかった。厚労省が法整備の方針を示したことで、パワハラ防止の議論は一歩前進したことになる。

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