2018年12月11日(火)

突かれた金商法の「穴」 ビットコインで出資募る

社会
2018/11/18 11:30
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米国のファンド運営会社「SENER(セナー)」への出資を募り、金融商品取引法違反(無登録営業)容疑で警視庁が摘発した勧誘グループは、出資金の9割以上を現金ではなく仮想通貨ビットコインで集めていた。国内の法規制は仮想通貨の普及に追いついておらず、金商法の「穴」を突いて摘発を免れる狙いがあったとみられる。

「出資が全て仮想通貨であれば摘発は困難だった」。警視庁の捜査幹部はこう打ち明ける。

同庁によると、セナーへの出資を勧誘していたグループは、元本保証で月利3~20%を配当するなどとうたい、全国でセミナーを開催。2017年2月からの約3カ月間で、延べ約6千人から総額約83億円相当を集めたとみられている。

その約83億円のうち、現金での入金は約5億円のみ。残る約78億円相当(入金時のレートで計算)はビットコインで集めていた。グループは出資者に対し「できるだけビットコインで払ってほしい」と求めていたという。

金融庁によると、無登録で金融商品の対価として「金銭」を集めた場合は金商法の規制対象となるが、現時点で仮想通貨は金銭に含まれない。仮想通貨をすぐに現金化するなど、実態として金銭と同等と見なせる場合は金商法適用の余地もあるが、それ以外は適用できないという。

警視庁によると、出資者がセミナー後などに出資金を現金で手渡したケースで、受領証に「ビットコイン代として」と書かれていたこともあった。捜査関係者は「現金で受け取った場合も仮想通貨だったかのように装う狙いがあった可能性がある」と指摘する。

金融庁の研究会では、金融商品の対価支払いに仮想通貨を用いた場合でも金商法の適用対象にすべきだとの意見もあるが、実現のメドは立っていない。

仮想通貨に詳しい斎藤創弁護士は「現状で取引が活発な仮想通貨については、経済的な実態を踏まえて法定通貨と同様に金商法の規制対象にしてもよいのではないか」と指摘する。

警視庁は14日、勧誘グループが現金で集めた約5億円のうち、東京都内や千葉県の男女9人が入金した約2900万円について、金商法違反容疑でグループの男8人を逮捕した。

同庁によると、勧誘グループの説明や資料ではセナーは米国や欧州に事業拠点があるとされていたが、そのような拠点の存在は確認できていない。また、集めた資金は実際には運用されていなかったとみられる。

セナーに実体がなく運用の実態もなかった場合、虚偽の説明をして出資金をだまし取った詐欺容疑での立件も想定される。捜査関係者は「詐欺であれば仮想通貨についても立件の可能性が出てくる」とし、グループの実態解明を急いでいる。

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