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スタートアップが挑む「お通じスッキリ」革命

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

人間の生活に欠かせない排便に関するデータを大量に集めている企業がある。うんちの記録アプリ「ウンログ」を運営するウンログ(東京・渋谷)だ。創業から約6年間で50万人分を収集。集めたデータを活用し、利用者の腸内環境を改善する「腸活」を支援する。田口敬社長(34)は「すっきり革命を起こしたい」と意気込む。

うんちの悩み、アプリで解決

ウンログは出たうんちを元に腸の健康度を数値化する

「アプリを使い始めてから食生活に気をつけるようになった」。都内に住む主婦の奈良崎菜穂子さん(29)は昨年6月からウンログを使い始めた。トイレに行く度にうんちの色や形、大きさなどを記録。週ごとの回数や状態をチェックする。「納豆やヨーグルトなど発酵食品を取るようにしたら、うんちの状態も良くなった」と笑う。

奈良崎さんはこれまでも家計簿アプリなどを試したこともあったが、長続きしなかった。ウンログはポップなデザインや出たうんちを元に腸の健康度を数値化する「ウンスコア」を算出する機能を搭載。中でも便に関する悩みを匿名でつぶやけるSNS(交流サイト)「ウントーーク」がお気に入りで、「生理期間中は便は出にくいなぁ」「あー、わかる、わかる!」などと、「友達に面と向かって話すのは恥ずかしいが、ウンログでは共有できる」という。

ウンログを開発した田口社長は大学時代、飛行機の研究をしていた。20歳のときに読んだ書籍をきっかけに「金持ちになりたい」と考え、卒業後は営業マンとして働いた。3度の転職を繰り返す中、「現代の金持ちは営業ではなくITエンジニアに多い」ことに気づき、26歳からプログラミング教室に通い始めた。

学んだスキルで何か好きなものでアプリをつくろう。小学生時代の自己紹介ページの宝物に「うんち」と書いていたことを思い出し、うんちを記録するアプリの開発に着手。1年半後の2012年7月に「ウンログ」を公開したところ、1年間で10万人に利用された。

ウンログの田口敬社長は「すっきり革命を起こしたい」と話す。

以前にデータベース会社で企画営業をやっていた経験から「うんちのデータを独占的に集めれば大きなビジネスになるのでは」と考え、会社を退職。13年8月にウンログの前身となる「じぶんラボ」を設立した。

ただ起業してからは苦労の連続。うんちに関するアプリは怪しいイメージもつきまとい、米アップルからアプリの更新を拒絶されたこともある。田口社長は渡米してアップルの担当者に医学的な根拠などを説明。ヘルスケアのアプリであるとの理解を得た。

14年に参加したNTTドコモのスタートアップ支援プログラムで「審査員・オーディエンス賞」を受賞したことで、企業から提携話も舞い込むようになった。食事や睡眠を記録するアプリ、ペット犬のうんち記録アプリも次々と出した。

しかし他のアプリは利用者数が伸び悩んだため、現在はウンログに集中する。特に力を入れているのは「腸活支援」だ。利用者は95%が女性で「便秘に悩んでいる人が多い」。そこで、アプリ内で食事や健康管理に関する情報を配信したり、33時間以内の排便を続けると記録更新を祝うキャラクターを登場させたりなど、楽しみながら便秘対策を続けられるように工夫をしている。

16年からは自宅で簡単に実施できる「腸内フローラ検査」の提供も始めた。1回2万円ほどで腸内の主要な細菌の存在比率を算出。生活習慣のアンケートも踏まえ、改善プランを提案する。

ウンログ女子部が商品企画に参画

ウンログ女子部では女性ユーザーが腸活に役立つ商品を企画する

腸活を後押しする食品開発にも取り組む。11月、ファミリーマートはウンログと共同開発したドリンク「ヨーグルトを使ったのむキウイ」の販売を始めた。ウンログで腸活を実践する女性ユーザーが集まる「ウンログ女子部」のメンバーが企画に参加した交流型の商品開発で、キウイやリンゴに水溶性食物繊維を6グラム配合。成人の1日あたりの食物繊維摂取目標量の不足分を1本で補えるという。

課題は資金の確保と収益基盤の確立だ。現状は食品メーカー向けのマーケティングや腸内細菌検査の受託など企業向けビジネスで収入を得ているが、事業を軌道に乗せるには至っていない。田口社長は「ウンログのデータを機械学習で分析して利用者に応じたコメントを出せる機能を19年中に実装したい」と話す。

将来を見据え、大学と共同で食生活と腸内環境の変化の関係性を調べる研究にも取り組む。「腸内は70億人がいたら全員が異なる環境を持つ。あなたのすっきり方法はこうだよと指南できるようにする」のが目標だ。

(鈴木健二朗)

[日経産業新聞 2018年11月19日付]

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