2019年3月20日(水)

なくなる週末の郵便配達 働き方改革、物流動かす

2018/11/16 20:00
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働き方改革の動きが、物流業界にビジネスモデルの変革を迫っている。16日には日本郵便が土曜日の郵便配達をやめ、投函(とうかん)の翌日に届ける範囲を大幅に減らす方針を表明した。過度な残業を避けるには夜間勤務などを減らさざるを得ず、業界では賃上げに応じた値上げも続く。人手不足も背景に、サービスの価値を見直す動きが産業界全体に広がりそうだ。

郵便の仕分けは人手に頼る部分も(東京・江東の新東京郵便局)

郵便の仕分けは人手に頼る部分も(東京・江東の新東京郵便局)

日本郵便は土曜の配達をやめたり、配達日数を遅らせたりできるよう郵便法の改正を総務省に要望した。あわせて制度改正による労務面の効果や、サービス内容の変化の実例も示した。

同社では土曜日に普通郵便を扱うために出勤する従業員は5万5千人いる。このうち、速達の担当者などを除いた4万7千人は平日の業務に配置転換できるとみている。翌日配達をほぼなくすと、1日当たり8700人の深夜勤務社員のうち5600人を日勤に移行できるという。

現在は郵便物の大半が差し出し翌日に宛先に届く。改革が実現すると土曜日には配達しないため、木曜日に差し出す郵便物が届くのは多くのケースで月曜日になる。

日本郵便が3月に実施した利用者アンケートでは、土曜配達を維持するための値上げを受け入れられるとの回答は約3割止まり。約7割は土曜配達をやめるとの選択肢を選んだ。翌日配達の縮小など配達日数を遅らせることについても同様の結果だった。

もともと同社は2017年にはがきを1994年以来23年ぶりに値上げして、10円高い62円としたばかり。それでも郵便事業は今後も採算が悪化する見通しだ。16日に開いた総務省の委員会でも「サービスの見直しをしなければ2、3年ごとに値上げをしなければやっていけなくなる」と理解を示す声が出た。「今回の説明で国民が理解できるかどうか」と丁寧な議論を求める意見もあった。

働き方改革のためにサービスを見直す動きは民間でも広がる。福山通運は19年1月以降は日曜日の企業向けの配達を取りやめる。人手不足のドライバーにかかる負担を軽減し、休みがとりやすいように労働環境を改善する狙いがある。

日曜配達の売上高は全体の1%程度で、仕分け作業員の稼働効率も平日と比べて低い。10月から順次、日曜の配達が多いアパレル用品店や食料品小売店に対し、平日や土曜に荷物を受けとってもらうよう依頼している。

ヤマトホールディングス(HD)傘下の宅配最大手、ヤマト運輸は17年に、ドライバーの休憩時間の確保や荷物の集中を防ぐ目的で配達時間帯の指定枠を見直した。荷物数の少ない正午~午後2時と荷物が集中する午後8時~午後9時の時間帯指定を廃止し、午後7時~午後9時を新設した。

荷物数を減らす「総量規制」を導入し、大口の法人顧客との値上げ交渉を実施。17年10月に個人向けも平均15%値上げした。佐川急便もヤマトに続き、同11月に個人向け運賃を引き上げた。

物流業界は速く、正確に商品を届けることを荷主と消費者の双方から求められてきた。国営で全国一律の戸別配達サービスを築いた郵便がその素地をつくってきた面はある。日本郵便が取り組むサービスの見直しは、多少の無駄には目をつぶりながら提供する「過剰なサービス」をなくす動きを象徴している。

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