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四国4地銀ファンド、中小承継 長い目で支援 後継人材を育成

四国の4地銀が設立した四国アライアンスキャピタル(SAC、松山市)は運営ファンドを通じ、後継者難などで事業承継に悩む企業を支援する。創業家から株式を取得し社外取締役を派遣。5~10年先の経営者交代を見据えた人事制度の整備や後継候補の育成を進める。ワンマン経営から組織経営への移行をじっくり後押しすることで有望企業の廃業を防ぎ、四国経済の底上げを目指す。

阿波、百十四、伊予、四国銀行が1月に設立したSACは4行が総額40億円を拠出した「しこく創生ファンド」を運営している。4行は資金提供に加えネットワークを活用したビジネスマッチングや、経営に深く関与する「ハンズオン型」で支援するのが特徴だ。

SACはこの取り組みの一環として10月、自動化設備の設計・製作を手掛けるフジコソ(愛媛県東温市)の株式の過半数を創業家から取得した。当面は創業者の藤社司会長(63)が現職のまま経営のかじ取りを担うが、社外取締役など4人を同社に派遣し事業承継に向けた準備を進める。

まず年内にも幹部らで経営方針について話し合う会議を立ち上げる。若手社員から意見を募り、賃金や休暇、昇任などに関する人事制度案も年内にまとめる。社員の中から2~3人程度の幹部候補を選び、少しずつ重責を担わせるなどして育成していく。

SACの竹田雅弘社長は「創業者が強くリードする企業に、銀行が得意とする組織運営のシステムを移植し、3年以内に事業承継への下地を作る。5~10年かけて後継者に交代させ、発展させたい」と計画する。

フジコソは藤社会長が1990年に設立。自動車や電化製品の部品を自動で組み立てる機械の設計から製造まで一貫して手掛ける。約60人の社員のうち半数ほどが設計部門に属し、難しい発注にも積極的に取り組む開発力が強みだ。

大手自動車メーカーのほかに、パナソニックヘルスケアや三浦工業など四国に拠点を置く幅広い企業を顧客に持つ。全国的な人手不足から効率化へのニーズは高く、19年5月期売上高は前年比3割増の12億円を見込む。

堅調な業績の一方、藤社会長の親族に後継者はおらず「1人で任せられる人材を育てるには10年以上かかる上、事業が忙しくて手が回らない」との悩みを抱える。自身は60歳代前半だが体力面に不安があり、早めに道筋をつけることにした。

当初は他社とのM&Aの可能性も探ったが「目先の利益追求で技術屋の社風が損なわれてはいけない。自動化装置で地域に貢献する会社であり続けるために、地銀が出資するファンドに託すことにした」と狙いを話す。

SACが組織経営への移行を後押しするのは、このままでは数年内に大廃業時代の到来が予測されるからだ。中小企業庁の調査によると中小企業では世代交代が進まず、経営者のボリューム層の年齢は66歳前後となっている。引退を70歳とすると、今後数年で相当数の企業で事案が見込まれる。一方でフジコソのように後継者難から円滑な承継が難しい企業は多い。

中小企業の廃業は地域金融機関にとって取引先の消滅を意味する。地域の産業競争力維持のためにも、先を見据えた実効性のある対策が求められている。(棗田将吾)

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