2018年12月12日(水)

サムスンバイオ粉飾認定 事業承継へ価値誇張か

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アジアBiz
2018/11/14 20:30
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韓国金融当局は14日、サムスングループのバイオ会社の会計処理に不正があったと認定した。同社株を当面、売買停止とする。問題の会計処理は李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の支配力が強まるようにグループを再編するためだったとの見方がある。合併の正当性や李氏による指導への逆風となり、経営継承を巡る論議が再び強まる可能性がある。

韓国金融委員会傘下の証券先物委員会は14日、サムスングループのバイオ医薬品受託製造会社、サムスンバイオロジクスの株式を15日から売買停止にすると発表した。記者会見したキム・ヨンボム委員長は、同社が15年12月に実施した会計処理が「故意の粉飾にあたる」と指摘。粉飾の規模は約4兆5千億ウォン(約4500億円)と説明したが、会計上のどの項目の粉飾を指すのかは不明だ。

サムスンバイオロジクスの2017年12月期のの売上高は4646億ウォンとグループ内では小粒だ。証券先物委員会の関係者は15年の会計処理について「(赤字が続いて)債務超過に陥ることを懸念したのではないか」との見方を示した。

同委は上場廃止に相当するかどうかを韓国取引所に審査させる方針を示し、サムスンバイオロジクスに金泰漢(キム・テハン)社長の解任を勧告した。同社は「行政訴訟を起こして適法性を立証する」と表明した。

サムスンバイオロジクスを巡っては当時、製薬子会社だったサムスンバイオエピスの企業価値を3兆ウォンと見積もりながら、自らの株式公開をにらんで8兆ウォンと虚偽の評価を政権側に報告した疑いが最近浮上した。

サムスンバイオロジクスはエピス株の評価を簿価から時価に変えることで会計上の利益を捻出したあと、16年11月に株式公開を実現した経緯がある。エピスは米製薬大手との合弁。出資比率の見直しでエピスを連結子会社から外したことにより、会計ルール上で可能になった時価評価を実行したと主張する。

だが、当局は評価が過大だとみて「多額の利益を計上したことは間違いで取り消されなければならない」と結論づけた。

李副会長が朴槿恵(パク・クネ)前大統領らに賄賂を贈ったとされる裁判の行方に影響する恐れがある。サムスングループは、創業家の支配力が強い第一毛織と、建設などを手がけるサムスン物産を15年9月に合併させた。サムスン物産はグループ中核のサムスン電子の大株主。前年に李健熙(イ・ゴンヒ)会長が突然倒れ、長男の李副会長が急いでグループを掌握する必要に迫られるなかで実行された。

再び苦しい立場に立たされたサムスン電子の李在鎔副会長

再び苦しい立場に立たされたサムスン電子の李在鎔副会長

ただ、「物言う株主」の米エリオット・マネジメントなど一部のサムスン物産の株主は「合併比率が李氏ら創業家に有利になるように不当に設定されている」と合併計画に反対した。サムスン物産の臨時株主総会では、株主から合併に必要な3分の2をわずかに上回る賛成しかなかった。

サムスンは臨時株主総会で、バイオ事業の成長力を理由に合併比率の正当性を訴えた。仮にバイオエピスの企業価値を不当に高く見積もった上で合併比率を決めたのだとすれば、虚偽の説明をした疑いが生まれる。

サムスンが、臨時株主総会の前にバイオエピスの価値の水増しを決めていたとの情報もある。

韓国検察は、李副会長が自身のサムスン電子への支配力を高めるために合併が成立するよう朴前政権に働きかけたとみている。金融当局が粉飾を認定したことは、今後の最高裁の審理で、李氏に不利な心証を判事に与える可能性がある。

革新系野党「正義党」の報道官は14日、「今回の粉飾会計事件は、李副会長の経営継承に焦点を当てて捜査されなければならない」と主張した。

(ソウル=山田健一)

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2018/11/14 23:52

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