2019年5月23日(木)

リビア和平会議、2019年春に選挙実施で合意
テロ・衝突相次ぎ、実施はなお不透明

2018/11/14 18:02
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【ドバイ=飛田雅則、ジュネーブ=細川倫太郎】イタリア政府は12~13日、東西に国家分裂が続く北アフリカのリビアの和平会議を開いた。東西の代表者は統一に向けて12月に予定していた大統領選と議会選を来年春に先送りすることを確認した。イタリアは和平を促し移民流出を抑える狙いだが、テロや武装勢力の衝突が続く。混乱が続けば、欧州への移民が増え、リビアの石油生産に影響が及ぶ恐れがある。

13日、イタリア南部シチリア島パレルモで開いたリビア和平会議=ロイター

会議には開催国のイタリアのコンテ首相や、リビア西部の首都トリポリを拠点とする暫定政府のシラージュ暫定首相、東部の軍事組織「リビア国民軍」を率いるハフタル司令官が出席。ロシアやエジプト、フランスなど約30カ国の代表が参加した。

「リビアの安定へ展望が見えた」。13日、コンテ氏は会議後の記者会見で成果を強調した。国連のサラメ特使も「真剣な会話があった。会議は和平プロセスにおける道しるべになる」と話した。

ロイター通信によると、東西の代表団は2019年春までに選挙を実施し、その結果を尊重することで合意したという。

リビアは11年の民主化要求運動「アラブの春」の余波で、長期独裁のカダフィ政権が崩壊し内戦に突入した。現在は国連が支援する西部の暫定政府と、東部の国民軍の間で分裂する。

東部の有力者であるハフタル氏を支援するのがエジプトとロシアだ。エジプトは敵対するイスラム原理主義組織と関係が深いとみてシラージュ氏をけん制する。ロシアはハフタル氏の支援を通じ、地域での影響力を高める狙いがあるなど、各国の複雑な利害が絡み合っている。

いまも各地に武装勢力が割拠している。武装勢力同士の対立も激しさを増しており、暫定政府は9月に首都トリポリに非常事態宣言を発令。過激派組織「イスラム国」(IS)などによるテロも多発している。治安が安定しなければ、再び選挙が延期される恐れもある。

今回、伊政府が和平会議を主催したのは、混乱を解消し移民の流入を止めたいためだ。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、過去5年間でリビアなどから地中海経由で欧州に渡った移民は約190万人。イタリアはその玄関口となってきた。和平が流動的となれば、欧州に向かう移民が増える可能性がある。

治安が悪化すれば、基幹産業の石油産業への影響を懸念する声もある。地中海沿岸などには石油施設がある。これまで過激派の襲撃で一時的に施設が閉鎖され、石油生産が停止。石油価格の上昇を招いてきた。

ガソリン高を嫌う米国のトランプ大統領は産油国に増産を求めている。トランプ氏は18年夏にリビアの東西の勢力に和解を促すため「油田地帯の安定のため力を行使する可能性がある」と脅す書簡を出したとの報道もある。和平が進まず混乱で生産に影響が及べば石油価格の上昇を招き、トランプ氏の反発を招く可能性もある。

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