ASEANで人材育成8万人 首相、首脳会議で表明

2018/11/14 20:33
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【シンガポール=田島如生】安倍晋三首相は14日、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国と首脳会議を開いた。東南アジアでものづくりやデジタル産業などに携わる技術者や研究者、経営者を5年間で8万人規模育成する方針を表明した。現地に技術を根付かせる日本独自の支援に力を注ぎ、途上国に巨額の資金を投入する中国の開発支援と差別化を図る。

首相はASEAN関連の一連の首脳会議で、インド洋と太平洋にまたがる地域で経済や安全保障上の協力を推進する「自由で開かれたインド太平洋構想」への賛同を呼びかける。

アジアでの産業人材の育成支援はその一環だ。日本は2015年にも3年間で4万人の人材育成を発表し、計画を推進してきた。新たな計画では素材加工の熟練技術やインフラの設計・維持といった従来の分野に加え、人工知能(AI)などデジタル分野の研究開発を対象にする。

首相はASEANが力を注ぐ環境配慮型都市(スマートシティー)開発への協力も表明した。19年中に東京でASEAN各国の閣僚級を集めた会合を開く。再生可能エネルギーや最新型の下水道処理、交通渋滞の緩和システム、電子決済などの導入を想定する。各都市のニーズと日本企業の技術をマッチングし、具体的な案件につなげる。

首相はASEANへの支援について「国際スタンダードに沿った質の高いインフラを推進する」と表明。「日本は自由貿易の推進役として自由で公正なルールを世界に広める」と話し、環太平洋経済連携協定(TPP)の拡大を目指すとした。

東南アジアは広域経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国も重点を置く。域内国には中国の資金力を頼りにする国が増えている一方、ラオスの巨額債務問題など過剰な貸し付けが途上国に過度な負担をかけているとの指摘もある。日本は透明性や人材育成、環境配慮などの点を独自の強みとして発信し、中国とは異なる選択肢を提供する。

首脳会議では安全保障面の協力も議論した。中国が軍事拠点化を進める南シナ海については、中国を名指しせず一方的な現状変更の試みに「深刻な懸念」を共有した。

北朝鮮問題では「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」の表現を盛り込み、国連安全保障理事会の制裁決議の履行や海上で積み荷を差し替える「瀬取り」の対策の必要性を共有した。日本人拉致問題の早期解決に向けた協力も確認した。

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