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RIZAP、70億円の最終赤字 拡大路線を転換

企業決算
ビジネス
2018/11/14 15:37 (2018/11/14 18:37更新)
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矢継ぎ早に経営不振の企業を買収し、収益を拡大させてきたRIZAPグループの経営が転換点を迎えた。2019年3月期の連結最終損益(国際会計基準)は70億円の赤字となる見込み。14日東京都内で記者会見した瀬戸健社長は「株主をはじめ、ステークホルダーの皆様の期待を大きく裏切ることになった。本当に申し訳ない」と頭を下げた。159億円の黒字との予想から一転して大幅な赤字となる。今後は新規のM&A(合併・買収)の凍結と、不採算部門の撤退も検討する。

決算説明会で謝罪するRIZAPグループの瀬戸健社長(14日午後、東京都港区)

決算説明会で謝罪するRIZAPグループの瀬戸健社長(14日午後、東京都港区)

■瀬戸氏「撤退、売却を検討」

記者会見には瀬戸社長と、カルビーから6月にRIZAP入りした松本晃代表取締役の2人が出席。瀬戸氏は、「事業の選択と集中を進める。短期的な投資回収や収益改善が難しい事業、当初想定していたグループシナジーが見込めない事業については積極的に縮小、撤退、売却を検討していく」と述べ、M&A(合併・買収)による拡大路線を転換すると明らかにした。

RIZAPはM&Aに特に積極的な新興企業として知られてきた。この2年で傘下に収めたのは60社以上。2、3年かけて黒字化するとしてきたものの、現実には再建が思うようにいかない子会社も多い。今回、不採算事業の整理や固定資産の減損損失などの計上を迫られた。

この結果、営業損益は33億円の赤字(前期は135億円の黒字)と従来予想の230億円の黒字から大幅に下方修正した。アパレルや雑貨など異業種を取り込む多角経営に陰りが見えており、今後は主力事業と位置づける完全個室型のトレーニングジムなどに注力する。

4~9月期は85億円の最終赤字を計上した。経営責任を明確にするために、瀬戸健社長は18年4月~19年3月までの1年間、役員報酬の全額を自主返上する。その後も連結営業利益が230億円を超えるまで報酬の返上を続けるとしている。

今回、明確にしたのが拡大路線からの180度の転換だ。事業の選択と集中を進めるために、新規のM&Aを凍結する。短期での収益改善が難しい事業や、当初想定していたようなグループ企業同士の相乗効果が見込めない事業からは撤退や売却を検討する。

■営業利益の6割が「負ののれん」

記者の質問に答えるRIZAPグループの松本晃代表取締役(右)と瀬戸健社長(14日午後、東京都港区)

記者の質問に答えるRIZAPグループの松本晃代表取締役(右)と瀬戸健社長(14日午後、東京都港区)

この路線変更は、RIZAPの利益に大きく貢献してきた会計処理が今後は使えなくなることも意味する。この会計処理とは、買収の際に発生する「負ののれん」だ。

負ののれんとは買収額が買収先の純資産を下回った場合に計上するもので、その差額は営業利益に一括計上される。経営不振の赤字企業を中心に買収してきたRIZAPでは、この一時的な会計上の利益で営業利益が押し上げられていた。18年3月期の営業利益(135億円)のうち、6割以上を負ののれんが占めた。

だが今回、矢継ぎ早の買収路線を修正することで、今期見込んでいた「負ののれん」による利益が計上できなくなる。新規買収による黒字企業の収益貢献も見込めず、M&Aの凍結で総額100億円を超える利益が押し下げられる。

RIZAPは札幌証券取引所アンビシャスに上場する。2003年に設立したわずか15年の会社だが、積極的なM&Aで急拡大してきた。13年3月期に10社だった連結子会社は18年3月時点で75社に膨らんだ。この半年でも買収を続けており、11月時点での連結子会社は85社にものぼる。

今回はフリーペーパー発行のぱどやCD・ゲームソフト販売のワンダーコーポレーションといった子会社が損失計上を迫られた。RIZAP自身の性急ともいえる拡大路線で、経営のコントロールが難しくなった面は否めない。「再建は現場の力でやる」(瀬戸氏)という基本方針でやってきたが、赤字企業を短期間に再生させるには困難が伴った。子会社のノウハウを共有することで新商品開発を加速したり、顧客を相互に紹介したりするなどして目指してきた「RIZAP経済圏」は曲がり角に来ている。

■構造改革、松本氏の意向を反映

カルビー再建で知られ6月に経営陣入りした松本晃氏は、10月に最高執行責任者(COO)から外れ「構造改革担当」となった。松本氏は就任当初から「子会社の出血を止める」と口酸っぱく言ってきた。

これまでは瀬戸氏が主導し、M&Aを通じた拡大路線にまい進してきたが、松本氏の意向を反映する形で経営を転換する。本業のRIZAPブランドの個人向けジムや英会話は拡大を続け、利益も上げている。今後はこうした主力の高収益事業に経営資源を集中的に投入する。

松本氏は同日の記者会見で「おもちゃ箱のような会社だが、いくつか壊れているおもちゃがある」と指摘。「たくさん買った会社の中に不況産業があり、今修繕しないと大きな問題になる」と、瀬戸氏に改革を迫った背景を強調した。

また、「8月後半ぐらいから瀬戸さんとはずいぶん話した。瀬戸さんは私が言うことに99%同意すると言ってくれている」と指摘。「私と瀬戸さんが対立したことは一切無い」と強調した。

RIZAPの株価は上場来高値を付けた昨年11月から約7割も安い水準にある。収益性を重視する経営戦略への転換を市場は評価するのか。現実路線に回帰したRIZAPの経営の手綱さばきに注目が集まる。

(増田咲紀、高尾泰朗)

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