中国で消費落ち込み 10月の実質伸び過去最低

2018/11/14 14:37
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【北京=原田逸策】中国で個人消費の落ち込みが鮮明になってきた。同国の国家統計局が14日発表した10月の小売売上高(社会消費品小売総額)は、物価の変動を除いた実質の伸びが前年同月比5.6%と過去最低の水準に落ち込んだ。自動車の販売が振るわなかった。米国との貿易戦争で景気の先行きに不透明感が強まるなか、消費者の節約志向が広がっている。

中国のインターネット通販大手、アリババ集団による「独身の日」のイベント。消費者の節約志向は明確で、ネット販売セールでのまとめ買いなどが起きている。

中国のエコノミストが高額消費を占うとして注目するマカオのカジノ収入も失速。前年同月からの伸び率は8月に17%だったが、9、10月はそれぞれ2%台。反腐敗運動で不振だった2016年夏以来の低水準だ。

10月の小売売上高の伸びは名目では前年同月比8.6%となり、9月より0.6ポイント減速した。

統計の信頼度が高い、一定規模以上の小売業の売上高の伸びも同3.7%と過去最低。物価上昇を考えると実質の伸びはゼロ近辺とみられる。

国家統計局は「11月の『独身の日』(11日)を前に買い控えがあった」(劉愛華報道官)と説明した。独身の日に恒例のインターネット販売の大規模セールをにらみ、購買を先送りしたとの理屈だ。たしかに10月の事務用品や化粧品の不振は「独身の日」と関係ありそうだが、「セールまで待つ」こと自体が消費者の節約志向を裏付ける。

一方、10月は消費以外の統計で減速傾向が一服した。固定資産投資も工業生産も10月は9月よりも伸び率が拡大した。

背景にあるのは政府の景気対策だ。地下鉄や道路の工事が各地で始まり、インフラ投資は1~10月の累計で前年同期比3.7%増えた。水準自体は依然低いが、今年初めて減速傾向が止まった。

生産で伸びたのはセメント(13.1%増)や鋼材(11.5%増)で、インフラ需要の高まりを裏づける。日本の工作機械メーカーの中国現法トップは「主力の自動車向けは不振だが、建設機械の基幹部品の販売が好調で救われた」と話す。

中国北部では17年の秋から冬にかけ環境規制で多くの工場が操業停止した。18年は規制を事実上緩めたことで生産を押し上げた面もありそう。インフラと重工業という「古い中国」を代表する経済セクターが、減速下の小康状態を演出した。

ただ、米国との貿易戦争の影響は確実に出始めている。10月は自動車やスマートフォン(スマホ)、半導体に加え、追加関税の対象になった工作機械やロボットの生産も前年割れ。中国政府は景気下支えを強めるが、地方政府の過剰債務など構造問題をさらに悪化させかねない矛盾をはらむ。

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