千葉県、最大級地震の被害想定 南房総で最高25メートルの津波
千葉県は13日、過去最大級の巨大地震や大型台風が発生した場合の被害想定を公表した。地震発生後は太平洋に面した房総半島南部や外房を中心に大きな津波が押し寄せ、最大水位は南房総市で25.2メートルに達すると推計。人口が密集している東京湾岸でも3メートル以上の津波が発生する。被害想定は県内の市町村に伝達し、各地の防災計画づくりに役立ててもらう。

東日本大震災や元禄関東地震(1703年)など過去の大地震や相模トラフで将来予想される地震の地殻変動をシミュレーションし、各地域で想定される最大の被害を推計した。

従来の被害想定は首都直下地震など数十年以内に起こる可能性がある地震が対象だったが、今回は最悪の事態を想定したものとなる。発生頻度は高くても「千年に一度」(担当者)だが、県は最悪の事態への備えを呼びかけている。
津波被害の大きさが目立つのは外房地域や房総半島の南部だ。多くの地域で地震発生から1分前後で潮位が変化し始め、南房総市では8分で最高水位25.2メートルの津波が到達する。勝浦市やいすみ市、御宿町でも20分以内に15メートルを超える津波が押し寄せる。
東京湾内でも津波の発生を予測している。東京都に隣接する浦安市から市川市、船橋市に至る県北西部では3~4メートル台の津波を想定。千葉市から市原市、木更津市に広がる京葉臨海工業地帯でも同程度の津波が発生するとみている。
津波による県内の浸水面積は最大で2万8612ヘクタールに達すると試算。高い津波が押し寄せる外房地域の南房総市(2144ヘクタール)や白子町(2064ヘクタール)のほか、東京湾岸の市川市(1704ヘクタール)や浦安市(574ヘクタール)など海抜の低い人口密集地でも大きな被害が生じる見込みだ。
県土整備部の担当者は「今回の想定を生かし、市町村と連携して防災の地域づくりを進めたい」としている。