愛知・岐阜・三重 魅力向上3県競う
(中部経済特集 第2部)

2018/11/14 4:30
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製造業の集積が注目される愛知県だが、伝統文化や自然、食といった観光資源も豊富だ。国内はもとより、海外からの客も増やそうと、官民が動いている。

愛知、歴史・食・自然をPR

JRグループによる大型観光キャンペーン「デスティネーションキャンペーン(DC)」が10月に始まった。愛知が選ばれたのは愛・地球博(愛知万博)が開かれた2005年以来。愛知県は昨年秋に旅行会社など全国から800人を集めた販売促進会議を開き、体験旅行を開くなどの準備を進めてきた。

各旅行会社は12月末までのDC期間中に様々なツアーを企画。パンフレットを見ると、国宝の犬山城(犬山市)、県内有数の漁港である蒲郡、紅葉の名所である香嵐渓(豊田市)など、県内各地の観光スポットが取り上げられている。寺院や美術館が特別展示を実施するほか、1人500円で利用できる周遊バス運行や、JR東海の在来線にラッピング列車を走らせるなど、様々なイベントも用意されている。

11月初めには「地域伝統芸能全国大会」が愛知県で初めて開かれた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に日本の「山・鉾(ほこ)・屋台行事」が登録。全国33件のうち、愛知には「知立の山車文楽とからくり」や「犬山祭の車山行事」など、全国最多の5つが入っている。同大会は愛知のこうした伝統文化を全国に発信する絶好の機会となりそうだ。

これまで多かった中国などアジア圏だけでなく、英語圏からの客を増やそうと、県は、武将観光、伝統文化、ご当地グルメをテーマとしたPR映像を作った。中部国際空港(常滑市)の大型ビジョンや公式観光ウェブサイトで見られる。11月上旬には英国で開かれる世界最大規模の旅行見本市に出展した。

19年開催のラグビーワールドカップ(W杯)では豊田市が試合会場になるほか、名古屋、豊田、一宮の各市が出場チームの公認キャンプ地になった。世界からラグビーのファンが訪れる機会に、県内観光のために長期滞在してもらおうという思惑がある。

愛知の食文化にも、注目が集まりそうだ。日本ミシュランタイヤ(東京)は来年春に「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」を発行する。覆面調査員が厳選した飲食店や宿泊施設が掲載される同ガイドで、中部3県が取り上げられるのは初めてだ。

これまでに国内で対象となった地域では、ご当地グルメの掲載例もある。味噌やしょうゆといった「醸造文化」や、味噌煮込みうどん、ひつまぶしなど「なごやめし」が紹介されれば、新たな集客材料になるとの期待が集まる。

岐阜、「清流のアユ」広く発信

「清流の国」をキャッチフレーズにうたう岐阜県は、県内の美しい川を広くアピールしている。今年度は鮎(あゆ)を中心に据えた情報発信拠点「清流長良川あゆパーク」を郡上市に開業した。

長良川の鮎は夏場に流域で繰り広げられる鵜(う)飼いなど、独自の伝統や文化と結びついた存在だ。「清流長良川の鮎」として「世界農業遺産」にも指定されている。

同パークはその鮎と長良川の魅力を余すところなく紹介しようと約5億3000万円かけて整備した。敷地は約1万3000平方メートル。鮎などのつかみ取りができる人工河川や釣り堀、取った魚をすぐ焼いて食べられる拠点も設けた。長良川の水中を魚の目線で描いた映像や、流域を走る第三セクターの長良川鉄道の映像も用意するなど、幅広く楽しめる内容になっている。

流域の森林の間伐材を利用して箸や竹串、椅子を作る体験もできる。レストランには鮎を使ったメニューも各種取りそろえている。「道の駅」に隣接しており、地場産品の購入も可能だ。

猛暑だった今年の夏、水に入って楽しめるパークは一躍人気スポットに。国の重要無形民俗文化財に指定されている夏の風物詩「郡上おどり」が繰り広げられる郡上市八幡町と、世界遺産の合掌造り集落で知られる白川郷(白川村など)との中間に当たり、今後、新しい観光客の流れを生み出しそうだ。

三重、クルーズ船おもてなし

「はじめての外航クルーズ 120%楽しむ方法」。船旅の魅力を紹介する秋のセミナーが三重県四日市市で開かれた。県や市、商工会議所などで作る四日市港客船誘致協議会の主催だ。

今年6月、世界最大級の外国客船「ダイヤモンド・プリンセス」(乗客定員約2700人)が四日市港に初めて寄港。「にっぽん丸」や「飛鳥2」など日本の客船を合わせ、2018年度の四日市への寄港は過去最多の12回を見込む。同協議会は「誘致実績を広くPRし、おもてなしの態勢づくりにつなげたい」と、セミナーの狙いを話す。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、クルーズ船の寄港誘致が各地で熱を帯びる。上陸した外国人乗船客が観光や食事、買い物などをするため、地域経済への波及効果が見込まれるからだ。

ダイヤモンド・プリンセスは10月、鳥羽港(鳥羽市)にも初寄港した。18年度の寄港は1回だが、19年度は既に6回予定し、四日市の2倍。伊勢神宮(伊勢市)に近い地の利を生かす。

津と松阪、尾鷲の3市の港では、にっぽん丸の誘致が実現した。県観光魅力創造課によると、寄港地の近隣の市町は独自の観光プランで乗船客に魅力を売り込む。鈴鹿サーキット(鈴鹿市)のバックステージを見学できるショートツアーは好評という。

(名古屋支社 三輪恭久、岐阜支局長 小山隆司、津支局長 山本啓一)

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