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スポーツビジネスの制度設計は「商品設計」
FIFAコンサルタント 杉原海太

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2018/11/15 6:30
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国際サッカー連盟(FIFA)でコンサルタントの仕事をしていると話すと、「具体的にどういうことをしているんですか?」と聞かれることが多い。「主に制度設計です」と答えると「制度設計って何ですか?」。タマネギの皮をむくように問いはさらに奥へと進む。

実は私も3年くらい前からずっと自問自答を続けている。「ガバナンスの構築が主な仕事です」と答えていたが、その説明だと法令順守・コンプライアンスのような要素が強い仕事と日本では受け取られることに気づき、制度設計と説明するようになった。

そういう話をすると、制度設計というのはルール、レギュレーション、規約、理事会がどうとか、四角四面というか無味乾燥な組織論に聞こえてしまうかもしれない。が、現在の私の実感としては、スポーツビジネスにおける制度設計は、特に商業性の強いプロリーグに関していえば、商品設計も包含する広い概念である気がしている。リーグやクラブや選手の在り方をどうしたいのか。どうすることが、顧客であるファンやサポーターの求めとマッチし、ビジネスとして大きく広がり、持続できるのか。そういう感覚を抜きに制度設計を語ることはできなくなっているように思う。

魅力ある商品へ「攻め」のツール

何か成し遂げたい目的があって、それを実現させるために必要なものをどうそろえて積み上げていくか。スポーツビジネスの場合、ファンやサポーターに「買いたい」と思ってもらえるものに仕上げないと意味はないのだから、制度設計はルールで固めて「守り」に徹するだけではなく、魅力ある商品にするための「攻め」のツールにもなると私は考えている。

現在のプロスポーツの競争相手は国内の他競技だけではない。サッカーの場合でいえば、この20年くらいのうちにリーグ間の国際競争は激しくなり、世界市場でセールスできるビッグクラブを抱えたリーグが断然有利という環境になっている。放送権料収入の多寡が集められる選手の質を左右するリーグ間競争に、否も応もなくJリーグも巻き込まれるようになった。そういう激烈な競争に生き残るために、先を見すえた国際戦略と、それを可能にする制度(商品)設計の重要性はかつてないほど増しているように思う。

MLSは米国で5番目のプロスポーツとして着実に根を張ってきた=USA TODAY

MLSは米国で5番目のプロスポーツとして着実に根を張ってきた=USA TODAY

制度設計の面白さ、重要性について、プロ野球とJリーグを例にして簡単に述べてみたい。

ご存じのとおり、プロ野球とJリーグは運営のスタイルがかなり異なる。日本のファンは当たり前のように受け取っているが、実は、一つの国の中で、異なる制度設計のプロスポーツが立派に稼働している例というのはあまりない。

たとえば、米国の4大プロスポーツ(野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケー)と5番目のプロスポーツとして着実に根を張ってきたメジャーリーグサッカー(MLS)はどれもほぼ同じ構造をしている。各球団のフランチャイズにおける既得権益を認めつつ、リーグ全体の発展と成長を追求するつくりになっている。欧州サッカーのようにリーグに上部と下部があり、成績によって昇降格させるような仕組みにもしていない。米国のプロ球団はどんなに成績がひどくても「降格」という扱いを受けることはない。裏返せば、新規参入を簡単には許さない閉じたリーグともいえる。

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