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スポーツビジネスの制度設計は「商品設計」
FIFAコンサルタント 杉原海太

(3/3ページ)
2018/11/15 6:30
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この欧州と米国のいいところを採ったやり方は25年かけて、Jリーグを大きく発展させた。そこに議論の余地はないが、悩ましいのは、米国流の全体最適の追求は閉じた世界の中でビジネスに徹してありとあらゆる手立てを講じていくのに対し、Jリーグの方は公的・協会的発想というか、日本サッカー全体の発展を念頭に、ややもすると護送船団的な発想になりがちなところである。

私個人は、Jリーグも発足から25年がたち、ゲームチェンジのタイミングが来ている気がしている。1993年に10クラブで始まったときに追求できた全体最適と、54までJクラブが増えた今とでは「全体」の意味はおのずと違ってくる。ここまで数が増えれば、中央集権的な運営から、委譲できる権限はクラブに移し、クラブ固有の活力を生かすような方向にシフトする、部分最適の発想を採り入れることも検討していいのではないだろうか。

Jリーグも発足から25年がたち、ゲームチェンジのタイミングが来ている気がする=共同

Jリーグも発足から25年がたち、ゲームチェンジのタイミングが来ている気がする=共同

当事者が垣根越え是々非々で議論を

開放・欧州型、閉鎖・米国型のどちらにもメリットとデメリットがある。だから、どちらかが正しく、どちらかが悪いという話ではない。現状から日本が受け取るべき大きなメッセージは、開放、閉鎖、欧州、米国型がブレンドされながら大きく発展してきた日本のプロスポーツを実証的に研究しながら、もっとオープンに制度設計の議論をしていこうということだろう。

どうも、日本は「オカミ」意識が強く、大切なことは上が考えるから、周りはそれに黙って従えばいいという発想がいまだに抜け切れていないように感じる。スポーツの世界はそれではいけない。プロ野球にしてもJリーグにしても追求できる全体最適と部分最適がまだまだたくさんある。

米国や欧州の最新事例が「どうだ」「こうだ」と話をせずとも、自分たちの足元に極めて興味深いプロスポーツが2つある。球団、クラブ、選手スタッフ、出資企業、スポンサー企業、ファン、サポーター、行政といったステークホルダーとされる当事者たちが垣根を越えて、もっともっと本気になり、是々非々で議論を白熱させていけば、大きな発展につながる道が開けるのではないだろうか。

 すぎはら・かいた 1996年東大院修了。コンサルティング会社を経て国際サッカー連盟(FIFA)運営の大学院を2005年に修了。06年からアジア・サッカー連盟(AFC)に勤めた後、14年から現職。FIFAの戦略立案に携わる。

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