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日米、インド太平洋構想を主導 中国海洋進出に懸念共有

安倍晋三首相は13日、来日中のペンス米副大統領と首相官邸で会談した。日米が主導して太平洋とインド洋にまたがる「インド太平洋」に法の支配や市場経済などの価値観を定着させると確認した。南シナ海の軍事拠点化をはじめとする中国の海洋進出への懸念も共有する。年明けから始まる物品貿易協定(TAG)交渉についても話し合う。

会談後、両氏は官邸で共同記者発表に臨み、日米同盟の強化に向けた共同声明を発表する。6日の米中間選挙後、首相がトランプ政権の幹部と会談するのは初めて。

会談の冒頭で首相は「北朝鮮をはじめ地域情勢、経済など様々な課題について胸襟を開いて話し、日米の緊密な連携を確認したい」と語った。ペンス氏は「自由で開かれたインド太平洋に対する日本の決意を我が国も共有しており、是非実現していきたい」と応じた。TAGを念頭に「2国間の貿易取り決めについて議論したい」と述べた。

両氏はシンガポールで開く東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議や、パプアニューギニアでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出席をそれぞれ予定している。13日の会談は、出発前に安全保障や通商を巡る日米の立場を擦り合わせる狙いだ。

両氏は「自由で開かれたインド太平洋」を実現するため日米協力を促進していくと一致する。インド太平洋で航行の自由や安定した経済成長を実現させる構想で海洋安保や通商の連携を急ぐ。日米にオーストラリア、インドを加えた4カ国が中核となる。

米国が念頭に置くのは中国だ。ペンス氏は10月の演説で経済や安保、人権と幅広い分野で中国を批判した。インド太平洋構想への賛同国を広げ、中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」をけん制する思惑がありそうだ。

北朝鮮の核・ミサイル開発も主要議題だ。両氏は非核化には国連の経済制裁を継続する必要性があるとの認識で一致する見通し。北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けた日米協力も申し合わせる。

経済分野では日米の貿易・投資の拡大策を話し合う。焦点はTAG交渉だ。米国は対日貿易赤字の削減を目指し、自動車や農業の市場開放を求めている。TAG交渉を担う茂木敏充経済財政・再生相と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表の初会合は1月中旬以降の見通し。ペンス氏が米側の立場を首相に説明するとみられる。

ペンス氏は日本に到着した12日、ツイッターに「安倍首相と自由貿易協定(FTA)について議論する」と投稿した。日本政府はTAG交渉はサービス分野を含むFTA交渉ではないとの立場。ペンス氏の見解とズレがある。

米政府内にはTAGに通貨安誘導を防ぐ「為替条項」や、日本からの輸入に上限を設ける「数量規制」を導入するよう求める声がある。日本は為替政策は通貨当局が協議する課題として応じない構えで数量規制にも反対する方針だ。首相とペンス氏がこうしたテーマを話す可能性がある。

首相との会談に先立ち、ペンス氏は麻生太郎副総理・財務相とも官邸で会談した。麻生氏は13日の閣議後の記者会見で「(麻生、ペンス両氏をトップとする)日米経済対話としての面会ではない」と述べた。

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