2019年9月17日(火)

第1次大戦終結100年 米欧の亀裂あらわ

2018/11/12 23:20 (2018/11/13 0:40更新)
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【パリ=永沢毅、白石透冴】トランプ米大統領の中間選挙後初の外遊となった11日までのフランス訪問では、米欧の不協和音の増幅があらわになった。一段と内向きに傾斜する米国に欧州は不信を高める一方だ。第1次世界大戦終結100年の節目は米欧の結束をアピールする機会のはずだったが、同盟関係に深まる亀裂が鮮明になった。

米仏首脳は固い握手を交わしたが、関係はきしむ(10日)=ロイター

米仏首脳は固い握手を交わしたが、関係はきしむ(10日)=ロイター

「相互依存の関係や伝統的な結び付きを無視する動きが起きている」(メルケル独首相)、「極端な主張が復活し我々は弱体化している」(マクロン仏大統領)。11日午後。安全保障などを議論するためにフランスが主催した「パリ平和フォーラム」で、仏独トップの口をついて出たのは危機感だった。

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事らも呼応し、「国際組織は国家が問題を解決するための場であり続ける」との声明を連名で発表した。念頭にあったのは孤立主義で多国間の枠組みをないがしろにするトランプ氏にほかならない。

だがトランプ氏自身はフォーラムを欠席。大戦終結100年を記念する式典に出席した後に早々と帰国の途につき、国際協調に背を向ける姿勢を隠さなかった。

トランプ氏は大統領就任以来、欧州各国に北大西洋条約機構(NATO)の国防費の公平な負担を求め、追加関税もちらつかせて貿易赤字の削減も迫ってきた。

「他国防衛のため巨額のカネを支払い、同じ国々に対し通商でも巨額のカネを失っている。この状況を続けることはできないと彼らに伝えた」。仏訪問から帰国後の12日。トランプ氏はパリでの欧州側とのやりとりをツイッターで明かし、「自国第一」の変わらぬ姿勢を誇示した。

欧州は不信感を募らせるばかりで、11日付の仏紙ルモンドは米国との関係悪化を「離婚」と表現した。「中国、ロシア、そして米国からも我々を守らないといけない」。マクロン氏が言及したNATOとは別の「欧州軍」創設。米国を中ロと同列に並べるのは異例の発言だが、同盟関係に一方的にすきま風を吹かせる米への反発がにじむ。

トランプ氏が突然表明したロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄は新たな火種だ。撤廃されれば射程500~5500キロメートルの地上発射型ミサイルの開発や配備でのロシアへの制限はなくなる。「欧州の安全が被害を受ける」。マクロン氏ら欧州側は警戒を強めている。

議会下院の多数派を失った中間選挙後のトランプ氏について米政権に近い関係者は「2020年の大統領選に向けて公約実現に一段とこだわるだろう」と指摘。国際社会が懸念する単独主義の修正はないとみる。

第1次大戦末期に参戦した米国は英仏を軸とする連合国軍の勝利を後押しし、後の超大国への足がかりを得た。ただ大戦後に発足した国際連盟には加盟せず、しばらく孤立主義の道を歩んだ。いまの米国は1世紀前と二重写しになっている。

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