つくば駅周辺 再生は死活問題
(こだま)

2018/11/12 21:00
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つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(東京・千代田)などが流山おおたかの森駅(千葉県流山市)に商業施設を開業するのを取材するため1日、同駅に向かった。若い親子連れなどが多く、お祭りのようなにぎわいだった。取材を終えてつくば駅(茨城県つくば市)に戻ると歩く人はまばら。同じ快速停車駅でもここまで落差があるのかと落胆した。

つくば駅前は歩く人はまばらだ(茨城県つくば市)

2日にはつくば市の五十嵐立青市長が同駅前の全館閉館中の商業施設「クレオ」の取得を断念すると表明した。議会の理解が得られないというのが理由だ。市がサイバーダインとともに取得意向を示したのは9月下旬。時間が限られた中で判断が困難という議会側の姿勢も分からなくもない。

計画では同社がクレオにオフィスを構えることになっていた。市で誕生したスタートアップは育つと柏の葉キャンパス駅(千葉県柏市)や都心に移っていってしまう。市のアイデアも磨けばもっと面白くなると思っていただけに残念だ。

街の構造が車の利用を前提とするため、つくば駅周辺を訪れる市民は少ない。市によるアンケートでも来訪頻度は「年に数回」「ほとんどいかない」が半数近くを占めた。ある研究機関のトップの「研究機関を同心円状に置き、中心部に人が集まる構造にすべきだった」との考えは同感だが、今から変えようもない。

人の流れはどうしたら変わるか。駅と研究機関の往復にバスやタクシーを使う人が大半だが、シェアサイクルやカーシェアリングを設置し、市内に多いラーメン屋やパン屋などに寄り道してもらうことはできないか。こうした交通データを将来の自動運転にも生かせないか。

周辺施設との連携も不可欠だ。つくば国際会議場では今年9月の国際情報オリンピックで約90カ国から300人が、10月の世界湖沼会議は約50カ国からのべ5000人以上が集まった。駅周辺では旗やポスターが掲げられていただけだったが、参加者と市民をつなぐイベントはできないか。

車を持っていない「交通弱者」としてはつくば駅周辺の再生は死活問題だ。赴任中にその日が来ることを心から待ち望んでいる。

(つくば支局長 浅沼直樹)

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