再生エネの出力制御は減らせるか 経産省が対策案

2018/11/12 15:00
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経済産業省は12日の有識者会議で、九州電力が今秋、太陽光発電など再生可能エネルギーの発電を一時止めた出力制御に関する対策案を示した。発電を止める量を減らすため本州への送電量を増やし、発電事業者には効率的な自動制御システムの導入を促す。今後は九電以外の電力会社も出力制御をする可能性があり、再生エネを無駄なく使うための対策を急ぐ。

九州では太陽光発電を手がける事業者が増えた結果、九州電力が電力を受け入れきれず発電の抑制を要請する事態が起きた。九電は12日の有識者会議で、11月5日までに計6回実施した出力制御について説明した。

再生エネの発電所で実際に出力を制御した回数は1カ所あたり1.0~1.2回と、どこも同程度だった。九電は「公平性を確保できた」としたが、制御の要請に応じない発電所もあった。

出力制御は九電がオンラインで自動制御するものと、事業者が手動で制御するものがある。手動制御で500キロワット以上の高圧発電所では制御の実行率が毎回約90%で、残り10%は要請に協力せず発電を続けた。九電はこの10%の事業者については「次の回に優先的に制御を要請してきた」としたが、課題が残る。

経産省は発電制御をできるだけ減らす対策案を示した。まず本州と九州をつなぐ関門連系線の送電量を増やす。九州で再生エネの発電量が増えた場合、より多くの電気を本州で使ってもらえるようにする。予算が決定済みの事業を進め、今年度末までに再生エネの送電量を105万キロワットから135万キロワットにする。

太陽光や風力の出力制限を要請する前にはバイオマスや火力発電所の発電量も一定水準まで落とす。一部の事業者ではこの水準が能力の80~55%にとどまる。対策案ではこれを50%まで下げることを要請し、より多くの太陽光や風力を受け入れることをめざす。

再生エネの発電事業者には自動制御システムの導入を促す。手動制御では前日の16時に制御する量を決める一方、自動制御なら2時間前で済む。このため日照量や電力需要などの予測に応じて柔軟に調整できる。

実際、九電が今回実施したケースでは、手動では26万キロワットの発電を止めたのに対し、自動だと止めずに済んだ時間帯があった。経産省は自動制御の方が「発電事業者にとって機会損失の低減につながる」とする。

また経産省は出力制御を要請する対象について、大規模な事業者に限定する案も示した。大半がすでに自動制御を導入しており、出力の調整がしやすいためだ。

出力制御に対応することで発生した損失は事後に調整し、中小規模の事業者との間で損失が均等になるようにする。有識者からは同意する意見が多く、経産省は公平性を保つための実務的な手法の検討を進める。

有識者会議では中国電力東北電力沖縄電力の担当者も出力制御の準備を進めていると説明した。今後、九電以外にも出力制御の実施が広がる可能性がある。

北海道は風力発電などの再生エネが豊富にあるが、9月の地震では大規模な停電が発生。経産省は今冬の電力不足をにらみ、3年ぶりに節電を要請した。国全体で安定供給とコストのバランスを考えつつ、増えてきた再生エネの発電能力を生かす対策が急務だ。

(竹内宏介)

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