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豊島逸夫の金のつぶやき

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原油、記録的な10日連続安 サウジの誤算

2018/11/12 9:31
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ニューヨーク(NY)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が35年ぶりとされる10日連続の下げを演じている。

1か月前にはサウジ記者殺害によりサウジが原油を武器として使うシナリオが懸念され、原油100ドル説が流れたほど。

NYMEXフロアーにて

NYMEXフロアーにて

それが、いまや60ドルの大台を割り込み、40ドル説さえ横行する。

需給だけでは到底説明できない激変だ。その背景にはサウジ側の2つの誤算があった。

まず、サウジ記者殺害事件の影響が長引き、サウジ孤立を回避するため、トランプ政権の原油高批判に対し、サウジ側も協調の姿勢を具体的に示す必要が強まったこと。

次にサウジは、そもそも米国のイラン産原油輸入禁止措置でイラン産原油の輸出が激減すると読み、増産に動いたわけだが、結果的に、それが先走りフライングになってしまった。トランプ政権が日本、中国、インドなど石油消費大国に次々と輸入禁止適用除外措置を認めたからだ。180日と期限付きで、サウジの増産余力にも疑問符がつくが、相場への心理的影響は大きかった。供給過剰懸念をはやし、原油投機筋は売り圧力を強める。

しかも、サウジ系シンクタンクの「石油輸出国機構(OPEC)なき世界」についてのリポート作成(前回の本欄で詳述)が、長期的視点でのOPEC解散シナリオを想起させた。既に、サウジと非OPECが接近して、NOPEC(OPEC素通り現象)が顕在化している。

かくしてOPECのタガが緩むと、投機筋の価格形成主導力が強まる。

そもそも、金融規制のためのドッド・フランク法により、大手投資銀行は相次いで原油売買部門の縮小・閉鎖を強いられ、売買を仲介する潤滑油を失った原油市場は参加者が激減している。流動性が減った市場に、高速度取引を駆使して、投機筋が売買攻勢を仕掛ける。

短期的には原油下げ圧力が、先週金曜日のように、NY株下落の主因となるような市場環境が続くであろう。

中期的には、米中貿易戦争が中国の原油消費に与える影響が注目される。原油需要の中核をなす新興国経済の消費動向が材料視されよう。

供給サイドでは、イラクの有力油田キルクークが、イラク政府とクルド側の交渉で、生産再開の報道も流れる。

さらに、ロシア国内では生産者の増産圧力が強まっている。

ドル高進行もコモディティーの売りを誘発する。ドルインデックスも先週金曜日に67の大台が視野に入る水準まで上昇した。

地政学的リスクと各国の思惑が交錯するなか、原油価格の急落現象がインフレ率への影響を通じて、米連邦準備理事会(FRB)も金融政策面で無視できない状況になっている。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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