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12年前の乳児虐待死 法医学の蓄積が逮捕の決め手に

約12年前に乳児に暴行を加えて死亡させた疑いで、当時義理の父親だった男(42)が警視庁に逮捕された。男は事故だったと主張して見極めは難航したが、虐待への対応を重ねることで蓄積されてきた法医学の知見が逮捕の決め手となった。

生後11カ月だった女児は2006年12月30日に意識不明で病院に搬送され、約2カ月後に硬膜下血腫に基づく気管支肺炎で死亡した。母親は外出中で、当時同居していた男が119番した。

司法解剖で頭蓋骨の骨折などが判明したが、男は警視庁に「(女児は)コタツから落ちた」と説明。12年に事情を聴いた際も同じ主張を繰り返し、同庁は事件性を判断できないままでいた。

18年3月、未解決事件(コールドケース)を扱う捜査1課の「特命捜査対策室」が3度目の捜査に着手。複数の法医学者から、女児の頭部の外傷は「コタツから落ちるよりも強い衝撃がなければ起きない」との見解を得た。

さらに女児の解剖資料には「胸腺」が萎縮していたと書かれていた。胸腺は免疫機能に関わる臓器で、栄養不足やストレスを受けると萎縮する。

虐待死した子供の半数近くで胸腺が萎縮していたというのは、法医学で最近分かってきた知見だ。18年3月に両親から虐待を受けて死亡した東京都目黒区の女児(当時5)も、胸腺が同年代の平均の5分の1ほどに縮んでいた。

児童虐待に詳しい杏林大の佐藤喜宣名誉教授(法医学)は、虐待事件が増えるなかで解剖データの蓄積が進み、外傷や臓器の異変について「日常生活で起こりえるものと、虐待が考えられるものを見分けるボーダーラインができつつある」と話している。

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