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埼玉県内2行、貸出金残高増 4~9月期

埼玉りそな銀行と武蔵野銀行の貸出金が増えている。利回りが低下し、ボリュームを重視しているためで、両行が9日発表した2018年4~9月期決算では、9月末時点の貸出金残高がいずれも前年同期比1.7%増えた。預金残高の伸びも顕著で、埼玉りそな銀は個人預金の残高が初めて10兆円に到達。両行は手数料収入につながる投資商品の提案などに力を入れている。

埼玉りそな銀の18年4~9月期決算は本業のもうけを示す実質業務純益が1.7%増の254億円。低金利の影響で資金利益は減ったが、手数料収入などの役務取引等利益の増加で補い、中間期としては3期ぶりに増益となった。18年3月期に計上したグループ子会社の株式売却益がなくなり、税引き利益は49%減の159億円だった。

武蔵野銀の実質業務純益は18%減の64億円。資金利益や投資信託などの手数料収入が減ったほか、債券関係の損失が響き、全体を押し下げた。加藤喜久雄頭取は「マーケット環境の影響が大きかった」と述べた。

資金利益に影響する貸出金利回りは「低下幅が縮小してきた」(埼玉りそな銀の池田一義社長)が、低空飛行が続いている。企業にとっては融資を受けやすい環境で、県内トップシェアを占める埼玉りそな銀の9月末の貸出金残高は7兆2579億円と1.7%増加。法人・個人とも伸びた。

武蔵野銀も6月に資本・業務提携を結ぶ千葉銀行と共同で東京・浜松町に法人向けの営業拠点を設けるなど新規顧客の開拓に力を入れ、貸出金残高は3兆4779億円と1.7%増えた。利回りが低下するなか、両行とも貸出金のボリューム増が収益確保の支えの一つとなっている。

一方、預金残高も膨らんでいる。企業が手元資金を積み増す傾向にあり、埼玉りそな銀行では5%、武蔵野銀行も1.6%増えた。特に埼玉りそな銀は個人預金が10兆円の大台に乗るなど伸び幅が大きく、貸出金残高との差も広がっている。

銀行は集めた預金を国債や外債、投信などの有価証券で運用しているが、日銀のマイナス金利政策で国債の利回りは低下。外債や投信も市況次第で含み損のリスクを抱える。池田社長は「市場はボラティリティー(変動率)が高く、(運用は)難しい展開を強いられている」と指摘する。

このため、両行とも個人預金を投資商品に振り向ける営業の強化を急ぐ。埼玉りそな銀は顧客資金を投資信託で一任運用する「ファンドラップ」が好調で、9月末の残高は前年同期の2.8倍に伸びた。武蔵野銀も17年に千葉銀と協力して本格化させた埼玉県内での証券ビジネスを拡大しており、手数料収入の確保につなげている。

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