2018年11月14日(水)

米、首脳会談に向け対ロ圧力 核軍縮で譲歩求める

トランプ政権
北米
2018/11/9 17:28
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【ワシントン=中村亮】トランプ米政権がロシアへの圧力を強めている。8日にはウクライナ領クリミア半島の実効支配に関わるロシアの政府関係者やクリミアの企業に制裁を科した。米ロ間の貿易や民間航空機の発着も制限する措置をちらつかせている。11月末にも開く米ロ首脳会談に向け、イラン政策や核軍縮で譲歩を引き出す狙いだ。

米財務省によると、8日に制裁対象に追加されたロシア連邦保安局(FSB)の工作員はロシアに反発するクリミアの活動家を拉致し、電気ショックや絞首といった拷問をした。ロシアの銀行最大手ズベルバンクから融資を受けるクリミアのホテル運営会社も制裁対象に加わった。

追加制裁はトランプ米政権の対ロ政策のちぐはぐさを改めて浮き彫りにした。トランプ米大統領は7日の記者会見で、クリミア併合の責任はロシアのプーチン大統領でなく、併合を許したオバマ前大統領にあると主張。「私は関係ない」とも述べ、クリミアの実効支配を黙認するともとれる発言をしていた。

トランプ政権は3月に英南部で起きたロシア人元情報機関員の暗殺未遂事件で、ロシア政府が化学兵器を使ったことに対する追加制裁も検討している。8月に制裁第1弾を発動し、3カ月後までにロシアから化学兵器を今後は使わないとの確約が得られなければ制裁を辞さない構えを見せていた。国務省は今月上旬に米議会に「確約はない」との見解を伝えた。

追加制裁は米ロ間の貿易制限やロシア民間航空による米国発着の停止などが議論の俎上(そじょう)にのぼっている。米ロ関係に決定的な亀裂を生みかねない措置には慎重論はあるが、ロシア経済に打撃を与える外交カードをちらつかせて欧米への内政干渉をやめないロシアに圧力をかける。

トランプ政権はシリアでのイラン軍の撤退に向けてロシアに協力をとりつけたい考えだ。同盟関係にあるイスラエルが敵対するイランの勢力拡大に危機感を強めているためだ。ロシアはシリアのアサド政権やイランと良好な関係にある。米政権内には軍事面で影響力を増す中国に対して、米ロの安全保障協力を進めるべきだとの声もある。

米ロ両首脳は11日にパリで開く第1次世界大戦の終結から100年を記念する式典に出席し、昼食会などで接触する可能性がある。11月末にアルゼンチンで開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて、正式な首脳会談を開催する方向で調整を進めている。

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