2018年11月16日(金)
時価総額(普通株式ベース)
  • 東証1部 6,170,110億円
  • 東証2部 87,474億円
  • ジャスダック 95,013億円
東証1部全銘柄の指標
連結前期基準予想
純資産倍率 1.21倍 --
株価収益率13.69倍13.78倍
株式益回り7.30%7.25%
配当利回り1.79% 1.86%
株式市場データ

最新の市場情報

「※」は20分以上遅延
日経平均株価(円) 21,803.62 -42.86
日経平均先物(円)
大取,18/12月 ※
21,820 ±0

[PR]

マーケットニュース

フォローする

東証障害、メリルの「土管化」原因 高速取引落とし穴

金融機関
2018/11/9 7:56
保存
共有
印刷
その他

10月9日に発生した東京証券取引所のシステム障害のメカニズムが明らかになってきた。高速取引業者のミスとそれを見逃したメリルリンチ日本証券、こうした事態に備えていなかった東証、外部のシステム会社に依存した国内証券の失態が重なった。あおりを食ったのは個人投資家だ。

10月9日、取引開始前の午前7時31分。メリルは接続をテストする「確認電文」を東証のシステムに送信した。確認電文はサーバーの接続を確かめる信号。証券各社に割り当てられた「名札」に相当するIPアドレスから送る。メリルは同じIPアドレスを使って、2つのサーバーから同時に信号を送ってしまった。

1カ所から1つのはずの信号が2つ同時に来たため、東証はエラーとしてはね返した。メリルはすぐに再接続を試みる。何度もこれを繰り返し、平時の1千倍の負荷がかかった。4本ある回線のうち1本がダウンした。

実はこのミスを犯したのはメリルの顧客で、高速取引(HFT)を手がける米投資家だった。前日までの3連休中にサーバーを増強したが、その際に増設したサーバーの設定を誤ったようだ。

法律上、取引所に注文を出せるのは証券会社だけで、接続確認も証券会社の役目。だが、このHFT業者は「ダイレクト・マーケット・アクセス(DMA)」と呼ぶ手法でメリルを事実上素通りして株を売買していた。

コンピューターで1秒間に数万件の発注を繰り出すHFTは、取引所への注文スピードが利益を左右する。証券各社はHFT業者向けに、取引所に直接接続したのと同じように迅速に売買できるDMAを提供している。

問題はHFTがミスを犯した場合だ。証券会社はこれを防ぐ役割があるが、メリルは見逃した。HFTのデータをノーチェックで取引所に流す「土管」と化していた。

東証は2010年に高速の売買処理システムを導入し、大量の注文を出してくれるHFT業者を積極的に誘致してきた。HFTの異常注文を自動検知し、発注を断ち切る仕組みも整えていた。ところが接続テストのミスは想定していなかった。

東証は宮原幸一郎社長の報酬減額を発表したが、システムには問題なかったと主張する。1本回線がダウンしても残った回線に接続し直せば売買できる設計だからだ。

実際は約40社の証券会社が注文をつなげなくなった。それらの証券会社経由で未成立になった注文は10万件規模。大半は個人からの注文だった。

証券各社はその後、自らが取引の相手になって障害時の注文を成立させた。個人は相場下落時に買いを入れる傾向が強い。9日は日経平均株価が300円超下落し、買いが売りを上回っていた。証券各社は株価下落で障害時より低価格で株を調達し損失を抑えた。

事後の注文成立で個人側にも機会損失はなかったが、問題はそこにとどまらない。「コールセンターのパンクなどで注文を見送った個人も多い」(中堅証券)からだ。

他の投資家はどうか。証券各社は個人投資家と機関投資家で注文を受け付けるシステムを分けている。自社システムで対応する機関投資家の影響は皆無だ。自前のシステム部隊がすぐ回線を切り替えたネット証券を使う個人も影響はなかった。

影響は支店経由の注文処理をシステム会社に「丸投げ」する国内証券の個人客に集中した。原因は野村総合研究所が再接続に失敗したとの見方が有力だ。東証に接続する約90社の証券会社のうち7割強が同社のシステムを使っているようだ。

野村総研は「詳細は調査中」としているが、証券会社に提出した中間報告書には「東証の1~4の回線と再接続を検討したが、マニュアルがなく実行できなかった」と記した。複数接続など緊急対応の手順を用意していなかった可能性がある。

1999年、東証から「場立ち」と呼ぶ人たちが手サインで注文を成立させる立会場が姿を消した。約20年が過ぎた今、HFTなどコンピューターの自動取引が株式市場を席巻する。機械を操る人間が機械のミスをどこまで防げるのか。突きつけられた課題は重い。

(嶋田有、須賀恭平)

マーケットニュースをMyニュースでまとめ読み
フォローする

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップマーケットトップ

読まれたコラム