2019年8月17日(土)

東海第2延長認可、周辺6市村「事前了解」の解釈にズレ

2018/11/7 21:30
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原子力規制委員会が7日、日本原子力発電の東海第2原子力発電所(茨城県東海村)の運転期間延長を認可した。原電が再稼働を表明した場合、県と東海村のほか、水戸市など周辺5市の事前了解も必要になる。ただ、再稼働に対する認識では6市村の間でズレが目立ってきた。

記者団の取材に応じる茨城県の大井川和彦知事(7日、水戸市の茨城県庁)

6市村が原電と今年3月に結んだ新安全協定では、従来の県と東海村に加え、5市に「実質的な事前了解」の権限を与えた。この権限を巡り「1自治体でも納得しなければ再稼働しない」かどうかが焦点になっている。

日立市や常陸太田市などは「1自治体でも反対すれば再稼働しない」との見解だ。水戸市の高橋靖市長も7日、「1市村でも了解しなければ協議はやめないと原電に確認している。協議が続くということはその間は再稼働されないということだ」と話した。

一方、東海村の山田修村長は「原電の発電事業を認めた上での協定だ」と指摘。再稼働に対する拒否権ではなく、「最終的には事業者の判断だ」という立場だ。

実際、1自治体でも反対があれば再稼働できないのか、原電との間に「明確な約束はない」(那珂市の海野徹市長)。同社は「納得いただけるまでとことん協議させていただく」(村松衛社長)との説明に終始する。自治体間の解釈の違いを埋められるかどうかが、今後の焦点となる。

是非判断にあたっては多くの自治体が広域避難計画を重視する。水戸市の高橋市長は7日、「実効性のある計画が策定できない限り再稼働の議論はあり得ない」と改めて強調した。

策定対象14市町村のうち、策定を終えた笠間、常陸太田、常陸大宮の3市も住民の移動手段の確保などに課題を残す。茨城県の大井川和彦知事も7日、実効性のある計画作りが「難しいのは間違いない」と述べた。

対象住民の96万人を安全に避難させるための計画作りにはなお時間がかかりそうだ。

6市村のうち再稼働に対する意向を示したのは反対を表明した海野徹那珂市長のみ。議会や住民、専門家らの意見を聞いて判断する方針を示している自治体も多く、表明時期は見通しにくい。

さらに、11月にひたちなか市で、来年2月には那珂市で市長選が予定される。5月には水戸市の高橋市長も任期満了を迎える。選挙の結果次第では、東海第2原発の再稼働に関する是非判断に影響が出る可能性もある。

玉虫色の「事前了解権」に全国最多の96万人を安全に避難させる広域避難計画作り――。東海第2原発を巡っては「課題・問題が複数顕在化し、住民の皆さんも高い関心を持っている」(東海村の山田村長)。再稼働の是非判断のバトンが渡された今、地元自治体には責任ある対応と決断が求められる。

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