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米中両にらみ、トヨタに待つ難路 貿易戦争がリスクに

自動車・機械
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2018/11/7 1:00
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トヨタ自動車の好業績が続いている。6日発表した2018年4~9月期連結決算は売上高が過去最高。売上高純利益率も8.5%と、5%前後にとどまる他の世界大手を引き離した。ただ先行きは楽観できない。二大市場と力を入れる米国と中国は真っ向から対立し、カーシェアや自動運転など技術面でも地殻変動が迫る。先の読めない時代を迎え、トヨタは「稼ぐ力」をてこ入れすると同時に、先端技術への投資を加速する。

「マルに近い三角だ」。6日、トヨタの小林耕士副社長は記者会見で足元の業績に一定の評価を示した。本業のもうけを示す営業利益は前年同期比で15%増加。世界的な資材価格の上昇がマイナス要因だが、アジアや欧州で販売を積み増したほか、コスト低減で利益を増やした。

トヨタの売上高純利益率は8.5%と、独フォルクスワーゲンや米ゼネラル・モーターズ(GM)の5%前後を上回る。トヨタ生産方式や徹底したコスト削減で先行するからだ。毎年の原価低減は3千億円規模に達する。それでも、小林副社長は6日の会見で「(将来的に)6千億円ぐらいにできれば」と漏らした。

背景にあるのはトヨタが将来に抱く危機感だ。同社の株価は年初から8%下がり、日経平均の下落率(3%)を上回る。

トヨタの世界販売の4分の1を占める米国事業は苦戦している。18年3月期の北米の所在地別の営業利益は1321億円と3年間で4分の1に落ち込んだ。新車市場が減速するなか、値引きの原資となるインセンティブ(販売奨励金)が増え利益を圧迫した。

同社は6日、今後3年でモデルチェンジも含め北米で計31の新車を投入する計画を示した。北米トヨタの代表を務めるジム・レンツ専務役員は新車投入で「インセンティブを減らす」と話す。売れ筋のピックアップトラックなど大型車を増産し利益率を高める。

今後は貿易摩擦が業績に影を落とす。

トヨタは8月、米トランプ政権による輸入車関税案の影響額が1台6千ドル(約68万円)に達するとの試算を示した。その後も米国は中国を狙い撃ちにした制裁関税を強め、9月にはメキシコ、カナダとの間で、自国優先を前面に出した北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しで合意した。

NAFTAの新ルールは域内の部品調達率を75%(現在は62.5%)に引き上げるほか、時給の高い地域で一定量を生産する賃金条項も盛り込んだ。レンツ専務役員は6日、「達成できる」と自信を示したが、部品調達網の見直しは新たな投資など負担増を招く可能性がある。

トヨタの危機感は中国にも向く。足元では中国の関税引き下げを受け値下げした高級車「レクサス」などが好調で、10月の販売は前年同月比で2割近く伸びた。17年の販売台数は約130万台と10年で倍以上に増えた。ただ市場シェアは約6%と、VWやGMに水をあけられている。


中国は政治状況に応じて事業環境が激変するリスクがあるほか、貿易戦争で景気の減速も見込まれる。二大市場である米中で不透明感は着実に増している。

さらに技術面ではカーシェアや自動運転の普及が目前に迫り、グーグルなど異業種の参入も相次ぐ。トヨタは自動運転車の実用化でソフトバンクグループと提携したほか、米ウーバーテクノロジーズなど世界の配車サービス大手に出資。データの活用も含めた次世代競争に備える。

多方面で不確実性が増すなか、従来の成功モデルは効力を失いつつある。好業績が続く中でもコスト削減で収益力を高め、先端分野に再投資できる体制の構築を急ぐ。

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