2018年12月13日(木)

地域のインフラ守れ 地銀やバスの統合基準見直し検討
政府、未来投資会議で議論

経済
2018/11/6 20:00
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政府は6日に未来投資会議(議長・安倍晋三首相)を開き、地方銀行や地域のバス事業者の統合基準見直しに向けた議論を始めた。地銀は地域の中小企業などの重要な金融インフラだが、超低金利の長期化や人口減少で経営環境が悪化。バスも地域交通網維持で重要さが指摘される。体力を強化する統合の足かせを取り除く独占禁止法の運用見直しなどを検討する。

未来投資会議であいさつする安倍首相(6日午後、首相官邸)

未来投資会議は政府の成長戦略をとりまとめる機関で、その内容は省庁の予算や施策に反映される。会議を運営する内閣官房の事務局は統合基準見直しの方向性を出し、来夏にまとめる成長戦略に反映させたい考えだ。

事務局は6日の会議で、地銀とバス事業者の専門部署を公正取引委員会内に設置するなどの論点を示した。乗り合いバスは「地方公共交通を支えることに限界が近づいている」との認識を示し、破綻の恐れが出る前に統合による経営強化を図る必要があると指摘した。

首相は「地方でのサービス維持が前提」としたうえで、統合を検討する場合は「可能にする制度を作るか、予測可能性をもって判断できるよう透明なルール整備を検討したい」と述べた。

地銀統合を巡る議論のきっかけの一つは、長崎県2位の親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループと同県首位の十八銀行が2016年2月に発表した統合計画だ。17年4月に統合する予定だったが、県内の中小企業向け融資シェアが7割に高まり、利用者の選択の余地が狭まることを懸念した公取委が認めず計画は漂流。最終的に今年8月、取引先に他の金融機関に借り換えてもらい融資シェアを下げることで決着した。

一方、融資などのシェアを県内に限定して審査することへの違和感が指摘された。金融庁幹部は「グローバル企業と、地域に不可欠なサービスを提供している企業の統合の是非を判断するものさしは違って当然だ」と話す。

未来投資会議には、独禁法に基づく統合審査にあたり「例外的対応」を求める声がある。経営統合で競争環境が阻害されるとの指摘には、県境を越えた貸し出しの増加で県内シェアが高くても貸出金利などの面で競争は働くとの考えだ。

統合基準の見直しにはいくつかの制度措置が想定される。まずは独禁法改正だ。だが条文が抽象的で解釈が難しい面があり、専門家から現実的ではないとの指摘がある。2つ目は独禁法の例外規定をつくる案。公取委がM&A(合併・買収)の審査時に活用する「企業結合ガイドライン」の見直しも選択肢となる。

地銀統合の環境を整える議論の背景には、事業所数や人口減少による融資環境の悪化などで過半数の地銀・第二地銀が本業で赤字に陥っている現状がある。金融はシステム費用や人件費などの固定費が多く、統合によるメリットが大きいとみる向きは多い。重複店舗の削減など、統合効果の大きい県内同士の再編の機運は高まっている。

事務局は、地銀が公取委の審査長期化によるコスト負担懸念から統合に消極的になる事態を懸念し、透明性のあるルール作りも選択肢に据える。

公取委も、運用方法を柔軟にすること自体に後ろ向きではない。地域インフラの維持が困難な場合、適用の仕方を変えても法の趣旨に反しないとの声がある。杉本和行委員長は会議後、記者団に「地方機関サービスを維持するために必要な企業統合であれば、独禁法の立場から問題視するものではない」と語った。一方で独禁法の運用見直しは「今後の議論次第」と述べるにとどめた。

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