/

米ツアー2勝目の畑岡、初の世界トップ10入り

編集委員 吉良幸雄

国内で開催される唯一の米ツアー大会、TOTOジャパンクラシック(11月2~4日、滋賀・瀬田GC北=パー72)で、米ツアー参戦2年目の畑岡奈紗(19)が4打差の3位タイから67で回り、通算14アンダー、202で鮮やかな逆転優勝。6月のアーカンソー選手権に次ぐ2勝目を挙げた。19歳10カ月での米ツアー2勝は、日本勢では野村敏京の23歳4カ月を抜く最年少記録。次々と最年少記録を塗り替える「NASA」が、2011年の上田桃子以来、7年ぶりの日本人チャンピオンとなった。

畑岡はTOTOジャパンクラシックで米ツアー2勝目を挙げた=共同

ショートゲームの「引き出し」増

畑岡は米ツアーでも名うての「ショットメーカー」だ。パットが決まっていったんスイッチが入れば、バーディーラッシュでビッグスコアをたたきだす。今季は米ツアー初優勝を飾ったアーカンソー選手権最終日、プレーオフで敗れたその翌週の全米女子プロ選手権最終日など4回も8アンダーをマークしている。TOTOでは10番までに5打伸ばし、試合の主導権を握った。3日間でパーオンを逃したのは6回だけ。安定したドライバーショット、切れのあるアイアンショットで傾斜のきつい難グリーンを攻略した。

優勝争いで気合が入り、11番(パー4)、12番(パー3)でティーショットを引っかけ連続ボギー。13番(パー4)でも第1打を左ラフに曲げ、セカンドもグリーンに届かない。第3打はピンまで残り28ヤード。黄信号が点滅する状況で、畑岡はピッチングウエッジを握った。以前なら58度か54度のウエッジでスピンをかけるピッチショットかピッチエンドランで寄せるところだが、受けグリーンを考えると「キャリーで自分に近いところに打ったほうがイメージが出る。寄せやすい」とランニングアプローチを選択。イメージ通りに転がして1メートル強に寄せパーを拾った。3連続ボギーの危機をしのぐと、14番(パー4)では左バンカーからの第2打を1メートル弱につけバーディー奪取、勝利を引き寄せた。

米ツアーでもまれ、畑岡はグリーン周りなどショートゲームの「引き出し」が増えた=共同

「(ランニングアプローチは)米国に行って覚えたこと。練習では自信を持ってやれなかったけれど、試合でできてよかった」。グリーン周りなどショートゲームの「引き出し」が増えたことが成長の証しだ。初優勝の後、何度もチャンスを逃していた目標の2勝目を達成。ルーキーイヤーで大苦戦した昨季は140位だった賞金ランクが、今季は5位(140万ドル=約1億5800万円)にジャンプアップ。世界ランクも16位から、全米女子プロ後の12位を上回る自己最高の7位と初めてトップ10入りを果たした。今週の中国での試合はスキップして地元茨城でリフレッシュ。飛躍のシーズンの総決算となる次週の最終戦、CMEツアー選手権(15日から、米フロリダ州)で優勝争いを目指す。

ところで、瀬田GCでの開催は13年ぶりとなったが、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が大会5連覇と猛威をふるった前回05年は、日本勢でベストテン入りしたのは、同年に6年連続賞金女王に輝いた不動裕理(3位)ただ一人だった。03年も不動(5位)だけといったように、過去の大会では米ツアー勢の活躍が際立つ。しかし今回は畑岡のほか、2位に永峰咲希(23)と上田桃子(32)、最終日を2位発進した小祝さくら(20)も8位と健闘した。永峰は2年ぶり2度目の出場で、前回は65位に終わっている。日米両ツアーを兼ねるこの大会は出場選手の約6割が米ツアー勢だが、全く気後れした様子は見られなかった。

永峰は2年ぶり2度目の出場で2位に入った=共同

「西コースでトーナメント(7月・センチュリー21女子)をやってるし、北コースは高校選手権で回っているから、回りやすさを感じる。もっと大きい人がいっぱいいると思ったけれど、私と同じくらいちっちゃい人もいる」。得意のアイアンがさえ、12番(パー3)でピンそば10センチに絡める快打を放つなど68を3日間連ねた。ただ好成績にも「一緒にラウンドしたり、練習場でショットを見たりして、思った以上に世界のレベルは高かった」。最終日に同組で回った2位のカルロタ・シガンダ(スペイン)について「男性っぽい格好いい球を打っていた」と感想を語る。「もっと自分がスキルアップしないと、こういう選手には勝てないと思い知った」

若手が「世界基準」知る貴重な場

若い選手にとってこの大会は「世界基準」を知る貴重な場。初出場の小祝も、同組で回った米ツアー選手はいずれも世界ランク20位以内で「ショットがキレキレ。振り抜きも違う」「ああいううまい選手と毎週回ってると、自分もついていかないと、と思ってうまくなるような」と目を見張った。2日目にラウンドした高真栄(コ・ジンヨン=23、韓国)は米ツアー2勝で世界ランク10位。「今まで(見た中)で一番完成されたスイング。リズム、テンポがよく参考になる」。全米女子、日本女子オープンなどを制している田仁智(チョン・インジ=24、韓国)が好きで米ツアー選手の動画を見ることも多いという。最終日はショットが不調で1オーバー、2位から8位に順位を落としたが、間近で海外勢のスイングや練習を目にし、収穫はかなり大きかったようだ。

小祝は間近で海外勢のスイングや練習を目にし、大きな収穫を得たようだ=共同

07年にこの試合で勝ち、米ツアー参戦した大会2勝の上田も、初日から「米ツアーは大好き。テンションが上がる」と世界を相手に戦う喜びを隠さなかった。「彼女たちは練習場やバンカー練習場、アプローチなどで音がすごい。日本にはいない。ワクワクする」。自身は最終日、ショットが不調で18ホール中、10回しかパーオンできなかったが、巧みな小技で68にまとめた。「自分の今の実力と世界との差が感じられる」と話し、「日本選手が勝つことでゴルフ界の人気を継続していける。ゴルフファンだけでなく、後輩にもつながる」と大会の意義を強調した。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン