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プロリーグが成功するための必要条件
編集委員 北川和徳

2018/11/7 6:30
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卓球のTリーグが10月下旬、スタートした。男女各4チームが半年間にわたり、全国各地で7回戦総当たりのリーグ戦を展開する。

これまで水谷隼(木下マイスター東京)や張本智和(同)、石川佳純(木下アビエル神奈川)、平野美宇(日本生命レッドエルフ)ら日本のトップ選手の全力プレーを国内で観戦する機会は全日本選手権など年3回程度しかなかった。中国勢は不在だが、アジア各国のエース級も参戦。開幕カードから張本や平野が海外の世界ランク上位選手とレベルの高い熱戦を披露した。

10月24日に開幕したTリーグ。日本のトップ選手の全力プレーを国内で観戦する機会が増える

10月24日に開幕したTリーグ。日本のトップ選手の全力プレーを国内で観戦する機会が増える

ただ、定着するかどうか心配している。ビジネスとしての成功よりも、日本選手のレベルアップや卓球人気の拡大を目的にした"プロ"リーグと感じるからだ。

最大の課題はワールドツアーとの共存だろう。五輪出場権がかかる世界ランキングは1年を通じて開催されるワールドツアーの成績で決まる。トップ選手はそちらを優先したい。日程は重ならないように組んであるが、Tリーグに出場を続ければワールドツアーには集中できず負担は大きくなる。

4日に終了したワールドツアーのスウェーデン・オープンは「東京五輪に向けた強化に専念したい」とあえてTリーグ参戦を見送った伊藤美誠(スターツ)が中国の主力3選手を破って優勝した。

石川は準々決勝、平野は初戦で敗退。Tリーグで「ハイレベルな試合をより多く経験できる」のか「負担が増える」のかは考え方次第だが、伊藤と激烈なシングルス代表争いをする石川や平野の心中は穏やかではないだろう。

Tリーグでは選手のそうした事情も考慮して、1チーム21試合のうち出場8試合を義務付けると定めている。

だが、人気も実力も兼ね備えたトップ選手が最低限の出場にとどまれば、興行的な打撃は大きく、露出も減少する。運営で赤字が続いたとき、オーナーやスポンサー企業はそれをどこまで許容してくれるだろう。

卓球に限らない。最初から興行だったプロ野球とは違い、サッカーのJリーグ以降、日本で競技団体が主導して始まったスポーツリーグは、ビジネスよりも競技の強化や普及が最初に語られる。企業に頼って運営していた日本リーグの時代と本質的には変わっていない。

強化や普及が進んでこそビジネスとして発展するという考え方もあるだろうが、強化や普及では十分な成果を上げてきたJリーグでも一部チームを除けば、親会社の手厚い支援か地域貢献を意識した地元企業の協力によって支えられている現実がある。

稼げると期待して参入希望が相次ぐようになるまでリーグの価値を高める。その目標を最優先にしなければ、プロスポーツとしての持続的な発展は望めないと思う。

(2020年東京五輪まであと625日)

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