大掃除は11月 最新家電で窓・外壁・台所をきれいに
白物家電 意外に知らない基礎知識

「大掃除」というと年末をイメージする人がほとんどだろうが、家電コーディネーターの戸井田園子さんは、「大掃除するなら12月よりも前に」とアドバイスする。さらに「最新掃除家電を導入すれば、掃除の手間も省け、仕上がりもずっときれいになります」とも。一足早く大掃除をする理由と、役立つ最新掃除家電を紹介する。
気温が高いと汚れも落ちやすい
大掃除を年末に行うのは、身の回りをきれいにしてすっきりと新しい年を迎えたいという思いからだろう。しかし「掃除の効率を考えるなら、本格的な冬が来る前に掃除を済ませておきたい」と戸井田さんはいう。
気温が高ければ、油脂が溶けやすくなり、油汚れ・皮脂汚れもゆるくなる。つまり、真冬の大掃除で苦労して落としていた頑固な汚れもこの時期ならより短い時間で落ちる、というわけだ。もちろん夏のほうが気温は高いが、あの暑さのなかで掃除をするのは体調の点からも避けたいところ。
窓を開け放ちながら掃除できる点も、この時期に大掃除をするメリットの1つ。大掃除では、換気が必要な場面も多いが、寒い冬に窓を開け放つのはかなりつらい。夏は冷房を使っているだろうし、春は花粉が入るので窓を開けたくないという人も多いだろう。
そもそも12月は仕事もプライベートも忙しい時期。「だからこそ12月に入る前に、大掃除の中でも時間がかかる『キッチンの掃除』『窓拭き』『外壁やベランダの掃除』だけでも片付けておきましょう」と戸井田さんは提案する。今回はその3か所の掃除に役立つ最新家電を紹介する。
ぞうきん感覚のスチームクリーナーで
まずはキッチン掃除から。戸井田さんが薦めるのはスチームクリーナーだ。
スチームクリーナーは高温の水蒸気を当てて、汚れを落とす家電。油汚れが多いキッチンの大掃除には大活躍する。この時期に頑固な汚れを落としておけば、後は軽く拭き上げるだけ。年末に時間をかけて汚れと格闘することはなくなる。
スチームクリーナーには、キャニスター・タイプ、ハンディー・タイプ、ステイック・タイプなど、いくつかの種類がある。長時間掃除するならキャニスター、気軽に掃除するならハンディーやスティックが使いやすい。
また、水を加熱する方式も「ボイラー式」と「パネル式」の2つがある。
ボイラー式は、タンク内でお湯を沸かすため、スチーム温度が高くパワフル。高圧で熱湯を吹き出す製品もある。しかし水がなくなると本体が冷めるまで給水できない、という欠点がある。価格の高い上位モデルには連続使用できる機種もあるが、「最初に購入するなら、まずは低価格のものから始めても十分でしょう」と戸井田さん。「連続使用できなくても、休憩しつつ掃除すれば問題ありません」
パネル式は、熱したパネルの上に水を通すことで、一瞬で熱湯を作る。ボイラー式と比べると、スチーム温度が低めだが、スタートまでの時間が数十秒と短く、水がなくなったら継ぎ足しできる。そのため、デイリーの掃除にも使いやすい。
戸井田さんのお薦めは、ブラック・アンド・デッカー(Black+Decker) ハンディスチームクリーナー「スチーミット FSH10SM」。

パネル式のスチームクリーナーで、スチームが出るミットに手を入れて使う。通常のスチーマーは高温・高圧の蒸気を吹き付けることで汚れを落とすが、この商品は、ぞうきんのように使えるので、蛇口や五徳など細かいところの汚れも落としやすい。また本体も軽量で、手軽に使えるため、デイリーの掃除でも活躍する。

窓を普段からきれいにする
キッチンの次は窓ふきも秋のうちに片付けてしまおう。
洗剤を吹き付け拭き上げる窓掃除も、水が冷たい真冬は一苦労。だが11月なら水も冷たくないし、外気温もそこまで低くない。ここで一度きれいにしてしまえば、あとは定期的に汚れを落とす程度で済む。
窓掃除家電で戸井田さんが推薦するのはワイパータイプのクリーナー。「窓掃除のプロは、手早くきれいに行うために水切りワイパーを使いますが、水切りワイパーは水ダレなどが起きやすく使いこなすまで時間がかかるのが難点。その点、水切りワイパーと水を吸うバキューム部分が一体化したワイパータイプのクリーナーなら、拭き跡も残らず、きれいに窓掃除することができます」
お薦めはケルヒャーの窓用バキュームクリーナー「WV 1 プレミアム」。「吹き付けた洗剤を吸い取るだけで窓をきれいに掃除できます。お風呂や冬場の結露とりなどにも使えます」と戸井田さん。掃除大国ドイツでは定番の掃除家電だという。


最近では、窓掃除をする掃除ロボットも登場している。
戸井田さんのお薦めは「ウインドウメイト」シリーズ。対応する窓ガラスの厚さによって4機種がラインアップされている。

バッテリーやクリーニングパッドを装着したら、磁石の力を使ってガラスを挟み込む。その後、スタートボタンを押すと、自動的に窓の掃除を始める。床をきれいにするロボット掃除機のように、窓の大きさを測定し、ジグザグに移動しながら全自動で窓掃除を行うのだ。ロボット掃除機を利用している人には出勤した後、毎日かけているという人も多いが、同様に窓掃除をデイリーで行えるようになるのもロボットを導入するメリットだという。

ベランダや外壁の大掃除
お風呂やベランダ、一軒家の外壁などをきれいにするときに役立つのが、高圧洗浄機。「真冬は高圧洗浄機の水が冷たく、かなり大変な作業ですが、この時期なら水温もそこまで低くならず作業もしやすい。晴れた日中を選べば、気持ちよく掃除することができます」と戸井田さん。確かにこの季節なら日なたは暖かいので、水の跳ね返りもそれほど気にならないだろう。
高圧洗浄機と言えば、大型のものがメジャーだ。以前も記事「男の大掃除気分が上がる ケルヒャーの強力家電3選」でケルヒャーの「K3 サイレント ベランダ」を取り上げた。だが、最近は持ち運びできる小型の製品も登場している。

ケルヒャーの「マルチクリーナー OC 3」はバッテリーで動く洗浄機。「電源だけでなく、給水タンクも内蔵しているので、水源を用意する必要がなく、場所を選ばずに掃除ができます」。持ち運べるためキャンプに持って行くという人もいるという。「こびりついた汚れには、大型の高圧洗浄機が必要になりますが、通常の汚れであればマルチクリーナーで十分。外壁やベランダ掃除、キッチン周りのほか、長靴やペットの足を洗う際に使えるなど、幅広いシーンで利用できます。持っているといろいろな場面で役立つ便利な家電です」

(文 秋葉けんた=マイカ)
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