2019年3月19日(火)

厄介な時代が始まった(大機小機)

2018/11/5 18:00
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ペンス米副大統領が中国との長期間の対決を辞さないとの演説を行った。中国が民主主義をないがしろにしているとの批判もした。経済のグローバル化の流れを大きく変える演説だ。

最近の経済のグローバル化は、かつてとは全く異なっている。IT(情報技術)の進化によって生産が容易に国境を越えられるようになり、勝者総取りの世界が生まれるようになっているのだ。

世界のどこで何をつくってもよくなり、世界があたかもひとつの国のようになったことが、その原因だ。日本において東京一極集中が加速しているのと同様に、グローバルレベルでも勝者への一極集中が生じるようになった。

その恩恵を最も享受してきたのは中国である。中国が「世界の工場」と呼ばれるまでに発展したのは、生産が容易に国境を越えられるようになった新しいグローバル化のおかげである。

その中国が、最近の発展ぶりをもって「自国の国家資本主義が優れている」とし、軍事力を強化するとともに、途上国への経済的な影響力をあからさまに強めはじめた。知財分野でも優位性を目指すと宣言した。

ペンス演説は「米国の先端技術を盗んで発展した中国が、人権をないがしろにする国家資本主義によって勝者総取りをするなど許し難い」との主張である。とりわけ、知財分野での覇権を「論外」としたのは、安全保障にも関わるためだ。

世界第1と第2の経済が激突する米中経済戦争の行方は見通しづらい。世界のどこで何を作ってもよくなっているので、各国の企業が生産を中国から他の国に移してしまえば、中国経済はたちまち行き詰まってしまう。しかし、それで一番困るのは米国の企業だ。世界経済の低迷をもたらすことにもなる。

わが国としては、米国抜きでの環太平洋経済連携協定(TPP)発効などによる高度な自由貿易圏の構築で対処していくことになろう。ただ「民主主義か国家資本主義か」という争いが絡むとなれば、「自由貿易を守れ」と言うだけでは事態は容易に収拾されまい。

確かなのは、企業にとって、世界のどこで何を作ってもいいという状況が一変したことだ。サプライチェーンの再構築を随時迫られる、厄介な時代が始まったのである。(唯識)

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