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トキ、野生下で370羽に復活 放鳥開始から10年

国の特別天然記念物トキが2008年9月に新潟県佐渡市で初めて放鳥されて10年が過ぎた。トキがすみやすい環境を整備したこともあり、野生下に生息する個体数は推定約370羽にまで復活。しかし遺伝的に近いため抵抗力の弱さが指摘されるほか、農業への被害も出ており、住民との共生という課題もある。

トキは日本を含む東アジア一帯に生息していたが、「とき色」と表される薄桃色の美しい羽根が装飾品に利用されたり、稲を踏み荒らしたりしたため乱獲されて激減。日本産は03年に雌の「キン」が死に絶滅した。

環境省はトキの保護増殖のため、絶滅前の1999年に中国から提供されたつがいから佐渡トキ保護センターで個体を増やし、08年に野生下への放鳥を始めた。12年に放鳥トキのペアからひなが初めて誕生、16年には野生生まれのつがいに、放鳥トキから数えて3世代目となるひなが生まれた。今年10月までに19回にわたり計327羽を放ち、野生下の個体数は約370羽になった。

同省は16年、野生下で安定的に子孫が増える目安として、全体の生息数とは別に、佐渡市に1年以上生存する個体数の目標を「20年ごろに220羽」と設定。これを今年6月に達成した。同省佐渡自然保護官事務所の若松徹首席自然保護官は「予想を上回るペース。住民の方々が餌場の田んぼを整備し、トキのすみやすい環境をつくってくれたおかげだ」と話す。

ただ、現在のトキは全て中国から提供された5羽から生まれたため遺伝的多様性に乏しく、特定の病気に弱い懸念がある。今年10月には11年ぶりに2羽が提供され、若松氏は「今後は新しい2羽の系統を増やし、遺伝的なバランスも考慮していきたい」と述べた。

佐渡市ではトキがすみやすいよう農家が農薬や化学肥料を削減し、ドジョウなど餌を確保する水路を整備。共生への取り組みが評価され11年に国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に国内で初めて登録された。

一方、トキが稲の苗を踏み生育を妨げる「苗踏み」と呼ばれる被害も出た。市は被害に遭った農家に補償金を支給。14~16年に14件の被害が報告された。被害が落ち着いたため17年に制度は廃止。市の担当者は「近年は被害を補償することより、共生を理解してもらうことを重視している」と強調した。〔共同〕

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