廃線保存をネットで支援 ファンが出資、観光スポットに

2018/11/5 11:27
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全国の鉄道ファンがインターネットを通じて資金を出し合い、廃線となった路線の設備保全や、経営が厳しい路線の支援に乗り出している。一部は観光スポットになっており、各地のファンがイベントなどで交流。地域活性化に期待が高まる。

クラウドファンディングで修復した蒸気機関車と転車台(9月3日、北海道標津町)=共同

1989年に廃線となったJR北海道の標津線では、終点の根室標津駅(標津町)跡地に機関車を方向転換する手押し式の転車台が残されている。数百メートル離れた公民館近くには、標津線で使われていた蒸気機関車(SL)C11形が展示されていた。いずれも老朽化し、傷みが目立っていた。

双方を組み合わせて新たな観光資源にしようと、地元の建設業者らが2017年、転車台保存会を設立。クレーンを使って直径約14メートルの転車台の上にSLを移したり、さびの除去などをしたりするため、費用約800万円の一部をネットのクラウドファンディングで募った。同年6~7月に約111万円が集まり、活動に役立てた。

保存会は、SLを乗せた転車台を人力で回すイベントなどを不定期で開催。今年10月7日には約100人の鉄道ファンが集まり、SLの乗車体験を楽しんだ。保存会の会長を務める町内の建設業、篠田静男さん(65)は「子供たちに人気で、何度も訪れる人が出始めた」と話す。

資金を出した大阪府豊中市の和田孝一さん(66)は家族で標津町を訪れ、篠田さんらと交流した。「熱意を感じた。今後も地域の遺産を生かす活動を支援したい」と語った。

JR九州の肥薩線では、明治時代に建てられた矢岳駅(熊本県人吉市)の旧駅長宿舎を宿泊施設に改装する計画が進んでいる。施設の運営を担う企業は10月までに、クラウドファンディングで改装費の一部約300万円を調達した。

千葉県銚子市では14年、厳しい経営が続くローカル私鉄、銚子電気鉄道の車両修理費として、銚子商業高の生徒らがクラウドファンディングで500万円近くを集めた。

クラウドファンディング運営会社「レディーフォー」(東京)によると、鉄道関連の企画は11年以降、約50件に上っている。同社の担当者は「車両や駅舎の維持、保存なら支援が目に見えるため、魅力を感じる人は多い。出資者が観光で訪れるきっかけにもなる」と説明している。〔共同〕

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