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就任1年目にWシリーズ制した レ軍監督の手腕
スポーツライター 杉浦大介

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2018/11/5 6:30
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2018年の米大リーグはレッドソックスの圧倒的な強さが目立った。シーズン中に球団史上最多の108勝を挙げ、ワールドシリーズでも4勝1敗とドジャースに圧勝。近年で最強のチームとも評価されるとともに、層の厚いロースター(出場登録選手)を率いたアレックス・コーラ監督の手腕にも称賛が集まっている。プエルトリコ初の優勝監督となった43歳はどのようにチームを頂点に導いたのか。

「見た目ほど容易だったわけじゃない。私たちが多くの資金を投じているのはわかっていた。だから勝たなければいけなかったんだ」

ワールドシリーズ終了後、コーラ監督は感慨深げにそう述べた。実際にシーズン中に最高勝率を挙げても、年俸総額では大リーグ1位の名門がプレーオフで敗退すれば"失敗"と見なされていただろう。熱狂的なボストンの街の思いも背負い、レッドソックスの選手たちが相当なプレッシャーの中でプレーしていたことは想像に難くない。

しかし、そんな重圧下でもレッドソックスの今秋の強さは見事だった。地区シリーズでは同じくシーズン中に100勝をマークしたヤンキース、リーグ優勝決定シリーズでは17年王者のアストロズにそれぞれ1勝しか許さずに完勝した。ワールドシリーズでは2年連続ナ・リーグ王者のドジャースも寄せ付けず、まさに圧勝だった。

コーラ氏、大胆かつ的確な采配

「信頼するコーチたちが素晴らしい仕事をしてくれた。選手たちが毎試合ハードにプレーし、ついに優勝できた。選手が成功できる位置に導くのが監督の仕事。彼らが成し遂げたことは素晴らしいし、とても誇りに思う」

コーラ監督はあくまで選手たちを褒めたたえたが、順調に勝ち進む過程で、プエルトリコ人出身監督の大胆かつ的確な采配にも徐々に注目が集まったのは当然だろう。

完全優勝ではあるが、振り返ってみればポストシーズン開始前のレッドソックスは断トツの本命と目されたわけではなかった。特に質量ともに救援投手陣の力量に疑問が呈され、「プレーオフで勝てるチームではない」という見方もあった。実際にプレーオフ初戦だったヤンキースとの地区シリーズ第1戦でいきなり先発の一角であるリック・ポーセロをリリーフでつぎ込んだ投手起用を見て、「こうしたやり方でワールドシリーズまで進めるわけがない」と危惧したファンも少なくなかったのではないか。

しかし、スクランブル態勢はこの試合だけにとどまらず、コーラ監督はその後もクリス・セール、デビッド・プライス、ネイサン・イオバルディ、ポーセロという先発投手たちを巧みに救援に起用していった。ワールドシリーズでも延長十八回までもつれ込む死闘となった第3戦で、十二回裏から登板したイオバルディが6回を投げきってほかの投手たちの負担を軽減させたのは特に印象的だった。シリーズ制覇を決めた第5戦の九回を締めくくったのもエースのセールだった。これまでプレーオフは苦手だったプライスの劇的な活躍とともに、レッドソックスの勝因がコーラ監督の巧みな投手起用にあったことは間違いない。

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