三菱重工業は防衛省が2018年度から調達を始めた3900トン型護衛艦2隻の建造契約を結んだと発表した。従来の護衛艦より小型化した新型艦。1隻あたりの調達価格を抑えるとともに、機動力を高め不安定さを増す日本近海で活動しやすくする。防衛省は計8隻の建造を予定しており、三菱重工が6隻、三井E&S造船が2隻建造する計画だ。
新型艦は防衛省の新しい入札方式で業者選定が進められ、企画提案で評価が1位となった三菱重工が主事業者となり、次点だった三井E&S造船が下請け業者として一部の建造を担うことになった。
今回契約したうち1隻を三菱重工長崎造船所(長崎市)で、もう1隻を三井E&Sの玉野艦船工場(岡山県玉野市)で建造する。1隻あたりの建造費は500億円程度とみられる。
総合重工各社の造船事業は商船の不況と国際競争の激化で苦境にある。ただ国が発注する艦艇は海外メーカーとの競争が事実上なく、単価が安定している。建造にはノウハウが必要で、引き渡し後も修繕などで一定の仕事量を確保できる。
近年護衛艦の受注競争では、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)がイージス護衛艦やヘリコプター搭載型護衛艦などの大型案件を連続で獲得。三菱重工は操業確保に向け、新型艦での巻き返しをめざしていた経緯がある。