マレーシア、財政赤字高止まり 消費税廃止で財源穴埋めできず

2018/11/2 18:00
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【バンコク=中野貴司】マレーシアのマハティール政権は2日、2019年予算案を公表した。ナジブ前政権の負の遺産の処理で歳出が膨らむ一方、選挙公約の柱だった消費税の廃止に伴う代替財源を十分確保できず、財政赤字は拡大する見通しだ。石油関連収入への依存も再び強まるなど、政権交代後初の予算編成は新政権の財政運営の苦境を浮き彫りにした。

19年予算案では歳出が大幅に膨張し、3138億リンギ(約8兆5千億円)と18年見通しに比べ8.3%増えた。前政権下での不適切な財政運営の見直しが主因で、所得税や消費税の払い戻しだけで歳出全体の約12%にあたる370億リンギを計上する。政権交代後の検証で、国の債務額が従来の公表値を大幅に上回る1兆リンギ超だったことも判明し、利払いなどの額も全体の10%超を占める。

一方、消費税の廃止を6月に実施したことで、安定財源が縮小。政府は代替財源として9月に売上・サービス税を導入したが、課税対象の広い消費税収を穴埋めするには至らなかった。

代わりにマハティール政権が頼るのが、国営石油会社ペトロナスの特別配当だ。19年は特別配当だけで歳入の1割超の300億リンギを見込み、通常配当などを合わせた石油関連収入への依存度は約3割に達する。前政権は消費税の導入などで石油収入依存からの脱却を進めたが、財政構造は逆戻りする形だ。

こうした一時的な財源を捻出しても、歳出の大幅な伸びには追いつけず、19年の財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は3.4%と、17年の3%に比べ悪化が避けられない情勢だ。マハティール政権は前政権の無駄に切り込み、財政赤字の拡大に歯止めをかけるとしているが、社会福祉関連費用など削減の余地が限られる項目も多い。

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